tend Editorial Team

2025.11.19(Wed)

「借金くらい助けろよ」と金を要求する図々しい兄。後日、届いた封筒の宛名で兄の嘘がバレた【短編小説】

「借金くらい助けろよ」と金を要求する図々しい兄。後日、届いた封筒の宛名で兄の嘘がバレた【短編小説】

借金している兄

「頼む! お前しか頼れるやつがいないんだよ!」

兄からの電話は、いつも突然で、そしてろくな内容ではありません。
受話器越しに聞こえる兄の声は切羽詰まっていて、演技とは思えないほどの必死さが滲んでいました。

「今度は何?」

私が冷たく問い返すと、兄は泣きそうな声で言いました。

「借金だよ……。会社の金に手を出したのがバレそうなんだ。今すぐ補填しないと、クビになるだけじゃなくて警察沙汰になる。50万、いや30万でいいから貸してくれ!」

兄は昔から金遣いが荒く、見栄っ張りな性格でした。
しかし、「警察沙汰」という言葉にはさすがにドキリとしました。
もしそれが本当なら、家族としても放っておくわけにはいきません。

「本当に、これが最後なのね? そのお金で全部解決するの?」

「ああ、誓うよ! この恩は一生忘れないから。借金くらい助けろよ、兄妹だろ?」

最後の一言にカチンときましたが、兄の人生がかかっていると思えば、無下にはできませんでした。
私は

「一度、実家で詳しく話を聞かせて」

と伝え、週末に実家へ向かうことにしました。

実家に着くと、両親は旅行中で不在でした。
実家暮らしの兄も外出しているようで、家の中は静まり返っています。
私は合鍵を使って家に入ろうとしましたが、ふと郵便受けがパンパンになっているのが目に入りました。
だらしない兄のことです、郵便物の回収すらしていないのでしょう。

兄宛の封筒

ため息をつきながら郵便物を束ねて手に取った時、一通の分厚い封筒が目にとまりました。
それは、兄宛の封筒でした。

しかし、差出人の名前を見た瞬間、私の思考はフリーズしました。
そこに書かれていたのは、消費者金融でも法律事務所でもなく、誰もが知る『高級輸入車ディーラー』の名前だったのです。
しかも、封筒の表には赤字で『新車ご納車スケジュールの確認』と印字されていました。

「は……?」

借金で首が回らない人間が、新車? しかも高級外車?

怒りで手が震える中、ちょうど兄が帰宅しました。私の姿を見るなり、彼は駆け寄ってきて手を合わせました。

「おお! 来てくれたか! 金、持ってきてくれたんだよな?」

私は無言で、その封筒を兄の顔の前に突き出しました。

「え……」

兄の顔からサーッと血の気が引いていくのが分かりました。

「借金って、これのこと? 会社の金に手を出したんじゃなくて、車のローンが通ったから頭金が欲しかっただけじゃないの?」

「いや、これは、その、間違いで……」

しどろもどろになる兄の姿を見て、私の中で何かが完全に冷めました。
借金苦という嘘をついてまで、妹から金を巻き上げ、高級車に乗りたかったのです。
その図々しさと幼さに、呆れて言葉も出ません。

「もう二度と連絡してこないで。自分の見栄は、自分で払いなさい」

私はそのまま封筒を兄の胸に押し付け、背を向けて歩き出しました。
後ろで兄が何か叫んでいましたが、もう二度と振り返ることはありませんでした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

******************
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
******************

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.07.11(Sat)

大物芸人でも家が買えない?明石家さんまが語った昭和の融資事情と令和に繋がる信用の形を考える
tend Editorial Team

NEW 2026.07.11(Sat)

「素人が口出ししないで、やり方が下手なのよ」子供の前で夫を全否定した妻。だが、副業の明細を見て言葉を失った
tend Editorial Team

NEW 2026.07.11(Sat)

木下優樹菜さんが明かした愛犬との別れと、シニア期のペットに寄り添う家族それぞれの選択や見守りの在り方
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.09.10(Wed)

【ZOZOTOWN】なぜCLELのシャツは指名買いされる?口コミを徹底調査したら「買うべき理由」と「注意点」が見えてきた
tend Editorial Team

2025.11.12(Wed)

「あんた、娘に近づかないで!」と怒鳴る元妻。後日、娘からの手紙を見て自身の過ちに気付いた【短編小説】
tend Editorial Team

2026.06.23(Tue)

「うちの旦那、子育てなんて全然よ」と悪口ばかりのランチ会。だが、正論を言った瞬間、その場の空気が凍りついた
tend Editorial Team