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2026.06.18(Thu)

母親「あの子にいじめられたって泣いてるんです」と園に猛抗議。だが、調査してわかった事実で態度が一変

母親「あの子にいじめられたって泣いてるんです」と園に猛抗議。だが、調査してわかった事実で態度が一変

電話越しの強い声

幼稚園に勤めていたときのこと。

降園後、一本の電話が入った。受話器を取ると、我が子を案じる母親の張りつめた声が飛び込んできた。

「あの子にいじめられたって泣いてるんです」

給食セットを取られた、と言っているらしい。声には、怒りと不安が入りまじっていた。

「先生、ちゃんと見ていたんですか」

子どもの訴えを、軽く扱うわけにはいかない。私は「明日、必ず確認します」と約束して、電話を切った。

翌朝、私は当事者の子たちひとりひとりに、責めない口調で話を聞いていった。

「給食のお片づけのとき、どんなことがあったか、教えてくれる?」

子どもたちは、思い思いに昨日の様子を話してくれる。

同僚にも、近くで見ていた場面を確かめてもらった。話のかけらを一つずつ並べていくと、最初に聞いていた絵とは、少しずつ違う形が浮かび上がってきた。

加害も被害も、同じ子

確認を重ねるうちに、輪郭がはっきりしてきた。給食セットを取ったのは、訴えてきた母親の、その子本人だったのだ。

やったことを、家では「やられた」と話していた。

小さな子が、叱られたくない一心で話を作り変えるのは、発達のうえでよくあることだ。

だからこそ、頭から「嘘つき」と決めつけてはいけない。

「お母さん、落ち着いて聞いていただけますか」

私はその日のうちに電話をかけた。

事実を、ひとつずつ、やわらかい言葉で伝えていく。

「取ってしまったのは、お子さんのほうだったんです」

沈黙が落ちた。母親は何度か言いかけて、そのたびに言葉を飲み込んだ。

「……信じられません。でも、先生がそう言うなら」

声が、少しずつ小さくなっていく。翌日、丁寧な詫びの手紙が園に届いた。長い文面の最後は、震えるような筆跡だった。

三度目に折り合った母

同じすれ違いは、それから三度くり返された。三度目の確認を終えて電話をすると、母親はしばらく言葉を探していた。

「この子、嘘をつくこともあるんですね」

突き放すのではなく、ようやく受け止めた声だった。

我が子を疑わない強さと、現実を見る冷静さが、ひとつになった瞬間だった。

「お子さんを思う気持ちは、いつも伝わっていますよ」

私がそう返すと、電話の向こうで母親が小さく洟をすすった。

「先生、いつも確かめてくれて、ありがとうございます」

それからの彼女は、何かが起きると真っ先にこう言うようになった。

「まず、事実を確認していただけますか」

園を一方的に責めていた頃とは、まるで別人だった。

子を守る母であることは変わらないまま、決めつける前に立ち止まれる人になっていた。こじれずに済んで、本当によかったと思う。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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