tend Editorial Team

2026.06.05(Fri)

「お金が合わない」職場の休憩室の料金箱のお金が合わない。だが、犯人が自白した結果

「お金が合わない」職場の休憩室の料金箱のお金が合わない。だが、犯人が自白した結果

料金が合わない日々が続いた

職場の休憩室に設けられたコーヒーコーナーは、カプセルや軽食を手頃な値段で使える福利厚生の一環だ。

料金は専用箱への自己申告制で、長年社員に親しまれてきた。

異変に気づいたのは、総務が毎月の集計をするようになってからだ。

「お金が合わない」

金額が微妙に合わない月が続き、担当者の顔色が曇るのをよく見かけるようになった。

最初は「誰かが計算を間違えたのでは」と思っていたが、不一致が何度も続くとそうも言っていられない。

まもなく、コーナーの常連利用者に個別に確認が入った。私もその一人で、「使った分はきちんと入れています」と答えたが、疑われている感覚は消えなかった。

私たちを「怪しい」と囁いていたのは

しばらくの間、職場には微妙な緊張感が漂っていた。利用者同士で目が合うとどこか気まずく、コーヒーコーナー自体を避けるようになった人もいた。

そのころ、ある同僚がさりげなく話しているのを耳にした。

「あの人たち怪しくない?」

私もその「よく使う人」に含まれていることは、容易に想像できた。

調査が進み、ある日、管理職から関係者が呼ばれた。

「本人から申告がありました」

名指しされたのは、他でもない、囁いていた本人だった。

「私が持って帰っていました」

肩を震わせながら絞り出した声に、誰も言葉を返せなかった。家計が苦しくてつい手が出た、という事情が語られたが、私の胸にあったのは同情よりも先に、長く続いた理不尽さへの怒りだった。他人を疑いの目で見ながら、自分がやっていた。その矛盾が、どうしても頭を離れなかった。

疑惑が晴れた朝の、静かな解放感

その同僚は数日後に退職した。

翌朝、休憩室のコーヒーコーナーに立ち寄ると、空気が変わっていた。

疑われていた同僚数人と目が合うと、全員が無言でうなずき合った。言葉にしなくても、晴れた気持ちは伝わった。

久しぶりにカプセルをセットしながら、「やっと終わった」と静かに思った。

疑われていた日々は、ほんの数週間だったかもしれない。でも、心が消耗した量は、それ以上だったように感じた。

理不尽な疑いをかけられたとき、黙っていることが誠実さの証明にはならないと今は思う。声を上げる選択肢を、もっと早く自分に許してよかった。

陰口を撒いていた本人が犯人だったと判明した瞬間の、あの場の沈黙はしばらく忘れられない。誰も言葉を返さなかったあの数秒の長さが、今でも耳に残っている。

同じ料金箱の前で、私と同じように疑われていた仲間の顔を思い出すたび、もっと早く話し合えばよかったとも思う。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.06.05(Fri)

「最前列、譲るね」イベントのチケットを譲ってくれるはずだった。だが、イベント前日に届いた最悪な知らせとは
tend Editorial Team

NEW 2026.06.05(Fri)

沖縄辺野古の抗議船転覆事故で構成団体が解散、被害者への謝罪や補償を巡り説明責任のあり方と組織の引き際を問う疑問の声
tend Editorial Team

NEW 2026.06.05(Fri)

衆議院議員の定数削減に与野党から様々な声が噴出!比例代表45議席の削減指示がもたらす一票の重みと今後の選挙制度のあり方
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.05.01(Fri)

「うち、本当に貧乏だから」が口癖の全身ハイブランドママ。心配するフリでチクリと刺した結果
tend Editorial Team

2026.05.27(Wed)

「AIへの相談がこんな大事に発展するとは」「監督辞任は重すぎるのでは」とSNSで物議に。巨人・阿部監督が辞任、AIへの相...
tend Editorial Team

2026.05.27(Wed)

「収入あるし、奥さんには仕事やめてほしいな」合コンで自慢し続けた男。だが、結婚観を語る男に反論した結果
tend Editorial Team