「その味付け、絶対に濃いわよ」心配で何度も電話してくる義母。だが、夫の一言で黙り込んだ
台所まで届く義母の声
その日も、夕飯の支度をしていると電話が鳴りました。
週に三度はかかってくる、義母からの電話です。
今夜の献立を伝えると、返ってきたのはいつもの一言でした。
「その味付け、絶対に濃いわよ」
あの子は薄味で育てた、あなたのやり方じゃ体に悪い。
受話器の向こうで、義母の指導が続きます。
「お味噌はもっと少なく。だしをちゃんと取ってるの?顆粒のだしなんて使ってないでしょうね」
週に三度の電話は、毎回この調子でした。
ちょうど夕飯の支度をしている時間を狙ったように鳴るので、私は片手に受話器、片手にお玉という格好で聞き役に回るのが常になっていました。
料理だけではありませんでした。
休日の予定も、子どもの寝かしつけも、電話のたびに細かく尋ねられ、口を出されます。
「昼寝させすぎよ。夜、寝なくなるでしょう」
「今度の日曜は何するの?家にいるだけ?それじゃ子どもがかわいそう」
波風を立てたくなくて、私は「はい」「そうですね」と相槌を打つばかりでした。
義母に悪気がないことも、心配してくれているのもわかる。だからこそ、何も言い返せませんでした。けれど、鍋をかき混ぜる手にだけ、じわりと力がこもっていくのがわかりました。
夫がかけた短い一言
ある晩、私の様子に気づいた夫が、鳴っている電話をそっと代わってくれました。
受話器を耳に当てると、夫は落ち着いた声で言いました。
「もうやめてくれ」
母さんの味も好きだけど、この家の味はこの家で決めるよ。夫はそう付け加えました。
電話口が、しんと静まったのがわかりました。
「…別に、口を出したいわけじゃないの」
「うん。心配してくれてありがとう。でも、味付けまで毎回言われると、この子もしんどいんだ」
義母は返す言葉を探すように口ごもりました。
何か言いかけては飲み込み、最後は小さな声で「……わかったわ」とだけ言って、黙り込みました。
電話を切ったあと、夫は「言い過ぎたかな」と少し心配していましたが、私は首を横に振りました。
ずっと胸につかえていたものが、夫の一言でようやく外に出た気がしたからです。
それから電話の数は減り、料理への口出しもぱたりと止みました。
次にかかってきたとき、義母は少し遠慮がちに「今度、あなたのお味噌汁の作り方も教えてね」と言ったのです。
指導する側だったはずの義母からその言葉が出たとき、私は思わず受話器を握りしめました。
立場が、静かに入れ替わった気がしました。
「これでよかったんだよ」
夫の言葉に、ようやく私は肩の荷を下ろせました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














