「母親なのに分からないの?」妻への口出しを何年も続けた母。だが、夫が正論をぶつけた結果
結婚した年から続いた注文
母は、俺が結婚した年から妻のやることに口を出す人でした。
味付け、洗濯物の干し方、掃除の順番。訪ねてくるたびに、必ず一つは注文をつけていきます。
「お味噌汁、こんなに薄くていいの」
「シャツは裏返して干すものよ」
妻は毎回「勉強になります」と笑っていました。母のいつもの癖だと、俺は本気で思っていたのです。
子どもが生まれて、それが一段と激しくなりました。
生後3か月に入った日曜、母は連絡もなく家に上がり込み、妻の腕の中をのぞき込んで声を荒らげたのです。
「その抱き方はやめて!」
妻の腕が固まりました。
「首がすわってないんだから、もっとこう。母親なのに分からないの?」
俺は麦茶のコップを持ったまま、突っ立っていました。何か言えばよかったのに、出てきたのは「まあまあ」だけです。
玄関で止めた日曜の朝
その夜、寝かしつけを終えた妻が、廊下でぽつりとこぼしました。
「抱っこするのが、怖くなってきたの。手が、勝手に震えるんです」
俺が黙ってやり過ごした回数だけ、妻がひとりで飲み込んでいたのだと、そこでようやく分かりました。
翌週、母が玄関に立った瞬間、俺は先に言いました。
「母さん、抱き方の話はここで終わりだ。この子を育てるのは俺たちだから、見守っててほしい」
母の眉が、ぴくりと上がりました。
「わたしは経験から言ってるの」
「その経験で、妻の手が震えるようになった」
母は反論しようと息を吸って、その息を吐くだけで終わりました。靴を脱ぎかけた足を、上がり框に置いたまま止めています。
後ろから入ってきた父が、荷物を床に下ろして続けました。
「お前も昔、うちの母親に同じことを言われて泣いてただろう」
母は父を見て、それから目を伏せました。誰ひとり、母の側につきませんでした。
あれ以来、母は必ず前の日に連絡をよこします。
「明日、少しだけ寄ってもいい?」
妻が抱っこしていても、母は何も言いません。言いかけて、こちらをちらりと見て、飲み込む。それを繰り返しています。
この前の帰り際には、母が妻に小さく頭を下げていました。
「あのときのわたしは、言い過ぎたわ」
妻は「いえいえ」とは返しませんでした。
「もう震えないので、大丈夫です」
そう答えて、母を見送る玄関の鍵をゆっくり閉めたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














