「うるさいと言われる筋合いはない。俺は客だぞ」売り場で大声を出す客。警備員二人を見た途端に小さくした声
声をかけると静かになる、その繰り返しだった
接客の仕事を長く続けています。その日はフロアの見回りを担当していました。
棚を整えながら歩いていると、少し離れた売り場から大きな声が聞こえてきました。近づいてみると、一人の男性のお客様が立っています。
私の姿に気づくと、先ほどまでの声は止まりました。
念のためそばまで行き、声をかけました。
「恐れ入りますが、もう少しお声を落としていただけますか」
男性は特に何も言わず、私はその場を離れました。
ところがしばらくすると、また同じ方向から大きな声が聞こえてきます。もう一度向かうと、私が近づいたところで静かになりました。
「先ほどもお願いしましたが、店内ではお声を少し抑えていただけますか」
今度は男性が不満そうな顔をしました。
「うるさいと言われる筋合いはない。俺は客だぞ」
周囲のお客様も視線を向けず、その場を通り過ぎていきます。
ここで言い合いになっても状況はよくならないと思い、私はいったん事務所へ連絡しました。
「大きな声を出されているお客様がいます。すでに二度、声を落としていただくようお願いしています」
そう状況を伝え、応援をお願いしました。
二人が正面に立つと、声が止まった
待っているあいだにも、男性の声は再び大きくなっていました。
しばらくすると、制服を着た警備員が二人、フロアの端から歩いてきました。
急ぐ様子はありません。ただ、まっすぐ男性のところへ向かい、その正面で立ち止まりました。
片方の警備員が、落ち着いた声で言いました。
「お客様、お静かにお願いいたします」
私が二度お願いしていたことを含め、今回で三度目です。
すると、それまで売り場に響いていた男性の声が急に小さくなりました。
「ああ、はい」
返ってきたのは、それだけでした。
警備員もそれ以上強く言うことはなく、少し離れた場所から様子を見ていました。男性は買い物かごを持ち直し、そのまま会計のほうへ向かっていきました。
事務所へ戻る途中、同僚から声をかけられました。
「一人で何度も対応しなくてよかったですよ」
その言葉を聞いて、私もそうだったと思いました。
同じお客様のところへ一人で何度も向かうことが、必ずしも丁寧な対応になるとは限りません。こちらが困ったと感じた段階で、周囲に状況を共有することも仕事の一つです。
それ以来、同じようなことが続きそうなときは、一人で抱え込まず早めに事務所へ相談するようにしています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














