tend Editorial Team

2026.09.05(Sat)

「何もされたわけじゃないのに」顔見知りが集まる公園。誰も悪くないのに私が遠回りを選んだ理由

「何もされたわけじゃないのに」顔見知りが集まる公園。誰も悪くないのに私が遠回りを選んだ理由

門の向こうに、顔見知りの人たちがいた

学校の目の前にある公園に、私はだんだん行かなくなった。

歩いてすぐの距離にあり、広くて遊具も多い。

夏には水で遊べる場所も使えて、小さい子から大きい子まで集まっていた。

近所では、いちばん遊ばせやすい公園だったと思う。

ただ、そのころは門のすぐ内側にあるベンチに、顔見知りの人たちが集まっていることがあった。

おつまみを広げながら話している。

奥の遊具へ行くには、その前を通らなければならなかった。

その場で、子どもたちは別のところに出かけているらしいとも聞いた。

だからといって、私はその人たちに腹を立てていたわけではない。

公園のベンチに座って話しているだけで、こちらが何か言うようなことでもなかった。

それでも、門まで来ると足が止まった。

知らない人たちなら、そのまま通り過ぎられたと思う。

けれど、そこにいるのは顔を知っている人たちだった。通れば挨拶をすることになるかもしれない。声をかけられれば、すぐ横を通り過ぎるのも気まずい。

何か嫌なことをされたわけではない。それだけに、自分でもどうしてこんなに入りづらいのか、うまく説明できなかった。

何も起きていないから、誰にも言えなかった

何度か、門の手前まで行って引き返した。

そのまま少し離れた公園まで歩く日もあった。そちらは遊具も少なく、水で遊べる場所もない。

それでも、入口で誰かを気にせずに入れるだけで、私にはずっと楽だった。

家族にも、理由は詳しく話せなかった。

「今日は、どこ行く?」

「今日はうちでいいかな」

「あの公園は?」

「ちょっとね」

それ以上の言葉が出なかった。

誰かに注意されたわけでも、仲間に入るよう強く誘われたわけでもない。だから、どこかへ相談するような話でもないと思っていた。

ただ、顔見知りの人たちが入口の近くにいる。それだけのことで、私は少しずつ別の場所を選ぶようになった。

遠回りすることが、いつの間にか普通になった

しばらくすると、その公園へ向かうこと自体が減った。

最初から遠いほうの公園へ行く。出かけるのをやめて、家で遊ばせる。

そんなふうに選ぶうちに、近くにあるはずの公園が、自分の中では行きにくい場所になっていた。

今でもあのころのことを思い出すと、不思議な気持ちになる。

ベンチにいた人たちは、ただそこで過ごしていただけだった。私が入りづらいと感じていたことも、来なくなったことも、おそらく知らなかったと思う。

遠慮していたのは、私のほうだった。

誰かが悪かったわけではない。それでも、自分には入りづらくなってしまった場所がある。

何も起きていないからこそ、誰にも説明できない。あの公園を思い出すたび、今でもそんな居心地の悪さが残っている。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.09.05(Sat)

「早く来たもん勝ちでしょう、と2度目に言われて下がった」私も何も言えないまま見ていた、あの姿
tend Editorial Team

NEW 2026.09.05(Sat)

「取れたから縫わなきゃ」ボロボロになったカバンの写真を投稿。数時間後、届いた一文に恐怖
tend Editorial Team

NEW 2026.09.05(Sat)

「最近避けてる?」行動を何度も言い当てる同僚。改札で会う回数まで増えていった理由
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.07.14(Tue)

「ご飯いらないなら連絡して!」何度頼んでも外飲みがやめられない夫。だが、妻の態度で言葉を失った
tend Editorial Team

2026.08.13(Thu)

「これ、なんて頼めばいいの?」ドーナツを注文した客。だが、注文時の発言で思わず笑ってしまったワケ
tend Editorial Team

2025.10.28(Tue)

日本共産党・志位和夫氏「戦争被爆国の首相を担う資格はない」と高市首相を痛烈批判
tend Editorial Team