「車の中の人たちも、あなたを見てたわよ」夜遅く帰宅した翌朝、隣の奥さんから告げられた不気味な一言に背筋が凍った
荷物を預かることが多かった隣の家
私の家族が父の会社の社宅に越したのは、30年前のことです。
社宅は庭つきの戸建てで、隣には門構えの立派な、とても大きな家がありました。
当時の私は20代で、友人と夜遅くまで遊ぶこともありました。
当時は、配達先が留守の場合、近所の家が宅配便を預かることもありました。
わが家でも、隣の家あての荷物を何度か預かっていました。
差出人の欄には、新聞などで見かけたことのある名前が書かれていることもありました。
どんなお付き合いがあるのだろうと気になりましたが、詳しいことは知りませんでした。
「またお隣さんの荷物が届いたの?」
「そうなの。夕方には奥さんが戻るそうだから、それまで預かっておいて」
母に言われて、私は箱を玄関の日の当たらない場所に移しました。
中には、持ち上げるのが大変なほど重い箱もあり、何が入っているのだろうと思ったこともあります。
荷物を届けに行くと、奥さんはいつも上品な服装で、にこやかに迎えてくれました。
「いつも悪いわね。お母さまにもよろしく」
私も、感じのよい奥さんだと思っていました。
夜道に停まっていた見知らぬ車
ある夜、友人と遊んだ帰りに、家の近くの角まで車で送ってもらいました。
友人の車を降りると、少し先の道に見覚えのない車が停まっているのが目に入りました。
車内には男性が二人いて、エンジンをかけたまま座っているようでした。
「あの車、誰か待ってるのかな」
「どうだろう。気をつけて帰ってね」
「うん、ありがとう。またね」
友人と別れ、私は家に向かって歩き出しました。
車の横を通り過ぎるとき、助手席の男性がこちらを向いたような気がしました。
気になりましたが、知らない人と目を合わせるのも嫌だったので、そのまま足早に通り過ぎました。
家に入ってからも、あの車のことが少し気になりました。
ただ、誰かを迎えに来ているだけかもしれないと思い、それ以上は考えないことにしました。
翌朝、母から隣の家へのお使いを頼まれました。
前日の夕方に届いた荷物を預かったまま、届けそびれていたそうです。
箱を抱えて隣の家を訪ねると、いつものように奥さんが玄関先に出てきました。
「おはよう。いつもありがとう」
「いえ、昨日届いた荷物です。遅くなってすみません」
奥さんは箱を受け取りながら、ふと思い出したように言いました。
「そういえば、昨日は帰りが遅かったのね」
「あ、はい。友だちと出かけていて。帰ってくるとき、うるさかったですか?」
「いいえ、そんなことないわ。たまたま窓から外を見ていたの」
そう言うと、奥さんは少し声を落としました。
「昨日、家の前に車が停まっていたでしょう?」
「あ、はい。男の人が二人乗っていましたけど……」
奥さんは小さくうなずいてから、こう言ったのです。
「車の中の人たちも、あなたを見てたわよ」
思いがけない言葉に、私は一瞬返事ができませんでした。
「そうなんですか…。あの人たち、誰だったんでしょう?」
「さあ、私にも分からないけれど。夜は気をつけてね」
奥さんはそれだけ言うと、いつもと変わらない笑顔で家の中へ戻っていきました。
私には、あの車が隣の家と関係していたのかどうかも分かりません。ただ、奥さんが窓から私の帰宅を見ていて、車に乗っていた男性たちの様子まで気づいていたことに驚きました。
奥さんは、単に私の身を案じて教えてくれただけなのかもしれません。
それでも、あのときの声の低さと、何事もなかったような笑顔が妙に印象に残っています。
それ以来、夜遅く帰るときには、家の近くに知らない車が停まっていないか気にするようになりました。
あれから30年がたち、隣の家とはもう何のつながりもありません。
今でも、夜道で車の中に人が座っているのを見ると、ときどきあの朝の会話を思い出します。
あの男性たちが何をしていたのか、結局分からないままです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














