「俺のせいじゃないだろ!」エンジンをかけっぱなしにした向かいのご主人。翌朝、奥さんの一言で態度が一変
わが家の前でうなり続ける車
その夜、仕事帰りの僕が家の近くまで来ると、ヘッドライトの光が道を照らしていました。
わが家の前に停まった車は、エンジンがかかっているのに、運転席に誰もいません。
「こんなところに、なんで停めてるんだ」
すぐに持ち主が戻るのだろうと考えて、僕はそのまま家に入りました。
ところが、風呂から上がってもエンジンの音は続いていました。
ヘッドライトの明かりがカーテンを照らし、低いエンジン音も寝室まで響いてきます。
さすがに気になって、僕は外に出ました。
車をよく見ると、向かいの家のものに似ています。
もう夜も遅い時間でしたが、このまま放っておくのも心配で、思い切ってその家のチャイムを鳴らしました。
ドアを開けたのは、パジャマ姿の向かいのご主人でした。
顔が赤く、少し酒のにおいもします。
眠りを邪魔されたのが不満なのか、眉間にしわを寄せていました。
「こんな夜にどうしたの」
「すみません。家の前に車が停まっていて、ずっとエンジンがかかっているんです。お宅の車じゃありませんか?」
「ああ、うちの車だよ。さっき代行で帰ってきたんだ」
「そうだったんですね。でも、誰も乗っていないのにエンジンがかかったままで。確認してもらえませんか?」
すると、ご主人は面倒くさそうにため息をつきました。
「代行が切り忘れたんじゃないの?こっちはもう寝てたんだよ」
「でも、音が家の中まで聞こえているんです。危ないですし、今、止めてもらえませんか?」
「分かった、分かった。あとで見ておくよ」
そう言うと、ご主人はドアを閉めてしまいました。
僕は仕方なく家に戻りました。しかし、しばらく待っても車の音は止まりません。
このままなら警察に相談したほうがいいだろうかと考え始めたころ、ようやく外が静かになりました。
窓から確認すると、車のライトも消えています。誰が止めたのかは分かりませんでしたが、ひとまず安心して布団に入りました。
寝ぐせのご主人と、奥さんの声
次の朝、少し寝不足のまま玄関を出ると、向かいの家の前で奥さんとご主人が話していました。
ご主人は寝ぐせのついた頭をかきながら、面倒くさそうに奥さんの話を聞いています。
「車はちゃんと家の前にあったんだから、いいだろ」
「そういう問題じゃないでしょう」
奥さんは僕に気づくと、申し訳なさそうに頭を下げました。
「昨日の夜は、すみませんでした。エンジンのこと、教えてくださったんですよね」
「あ、はい。途中で音が止まったので、安心しました」
それを聞いたご主人が、慌てて口を挟みました。
「いや、あれは代行が切り忘れたんだよ。俺のせいじゃないだろ」
奥さんはご主人のほうを向き、きっぱりと言いました。
「代行の人が切り忘れたかどうかは分からないでしょう。それに、お向かいさんが教えてくれたのに、確認もしなかったの?」
「いや、それは…」
「夜中にわざわざ知らせに来てくれたんでしょう。迷惑をかけたんだから、まず謝るのが先じゃないの」
ご主人は言いかけた言葉をのみこみました。寝ぐせの頭に手をやったまま、しばらく黙っています。
それから僕のほうを向き、気まずそうに頭を下げました。
「……昨日は悪かったね。迷惑かけたよ」
「いえ。エンジンが止まってよかったです」
奥さんももう一度頭を下げ、ご主人を連れて家に戻っていきました。
それ以来、夜中に車のエンジン音で悩まされることはありません。向かいのご主人も、顔を合わせれば以前より丁寧にあいさつをしてくれるようになりました。
あの夜はなかなか眠れませんでしたが、今ではわが家の前の道も静かです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














