「現在こちらの案件も補助として対応しています」進捗報告で淡々と事実を伝えた私→丸投げしていた同僚の表情が一変した瞬間
隣の席で笑顔のまま定時に帰っていく同僚
同じチームに、自分の担当をいつも誰かに振ってまわる同期の女性がいました。
席は私のすぐ隣。年齢も入社年も同じで、表面的にはとても話しやすい雰囲気の人です。
けれど、彼女のデスクの上にあったはずのファイルは、いつのまにか私の机に乗っていました。
「これお願いできますか?」
そのときの声は、いつもどこか軽くて、申し訳なさよりも、お願いの気軽さの方が前に出ています。
最初の数回は、私もお互い様だと思って引き受けていました。
けれど回数を重ねるうちに、振られる業務の中身が「ちょっとした補助」から「案件の主担当」に近づいていることに気づきます。
退社時間を見ても、その差は明らかでした。
彼女は毎日きれいに定時で席を立ち、私はパソコンの前に残ったまま、彼女から流れてきたメールへの返信を打ち続けていたのです。
不思議だったのは、その状況がチーム内でほとんど認識されていなかったことでした。
表向きの担当表は、いつまでも入社時の割り振りのまま。直属の課長から「最近どう?」と聞かれても、笑って「大丈夫です」と返してしまう私自身の癖もあったのだと思います。
事実だけを並べた報告で、会議室の空気が変わった
潮目が変わったのは、月初のチーム進捗ミーティングです。
順番に担当業務を共有していく流れの中で、私はメモを開き、事実だけを並べることにしました。
誰かを責める言い方にはしない、と心に決めて、声のトーンも普段の会議と同じに保ちます。
「現在こちらの案件も補助として対応しています」
担当している案件名を一つずつ口にしながら、補助として入っている部分を、進捗の段階とともに丁寧に並べていきました。
その瞬間、隣に座っていた同僚の表情がふっと一変しました。
頬の筋肉だけが笑顔の形のまま固まり、目だけが落ち着きをなくしているのが、横目でもわかります。
会議室の長机の向こうで、課長が手元のメモにペンを走らせ始めました。
「ちょっと整理しよう。これ、本来は誰が担当のはずだった?」
静かな声で、課長は一件ずつ確認していきます。私はうなずいたり、首を振ったりするだけで、感情的な言葉は一つも足しませんでした。
その場で、ホワイトボードに新しい担当割りが書き直されていきます。同僚にも、本来こなすべき範囲があらためて言葉で渡されました。
翌週から、私の机に「これお願いできますか?」とファイルが差し出されることはなくなりました。
声を荒げず、相手を責めず、ただ自分の手元の事実を共有するだけ。それだけのことで、長く飲み込み続けていたモヤモヤが、ようやく職場の机の上に正しく並べ直された瞬間でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














