「危ないからやめてほしい」狭い道で煽り倒してくる運転手。だが、数キロ先で下った天罰とは
煽ってきた高級車
仕事帰りに使っている県道は、信号と信号の間隔が長い道です。
その道に、後ろから無理に押し込んでくる黒い高級車が現れたのです。
サイドミラー越しに、やたらと近い距離まで車間を詰めてくる影が揺れている。
狭い区間で、私と前の車のあいだに無理やり頭を入れ、強引に割り込んでいきました。
運転席の男性は、こちらの顔を見もせず、前だけを睨んでいました。
前を走る軽自動車にも同じように張りつき、車間を詰めては煽り、クラクションを短く鳴らしては、ウィンカーを点けては消す。
(危ないからやめてほしい)
呼吸を整えながら、私はあえて速度を保ちました。
深追いしない、合わせない、刺激しない。
それだけが、この種の人と同じ道で生きるためのささやかなルールだったのです。
渋滞に戻ってきた高級車に思わず笑った瞬間
異変が起きたのは、ゆるい右カーブを抜けたあたりでした。対向車線にはみ出した黒い高級車が、ちょうど反対から来た大型トラックに鼻先を塞がれ、半端な角度で固まっていたのです。
追い越し車線のない狭い道で、無理に追い抜こうとした結末でした。
トラックは長くクラクションを鳴らし、後続車の列も、しぶしぶブレーキを踏んで止まっています。
男性は慌てた様子で頭を下げ、ハザードを焚いて車列に戻ろうとしていました。
けれど後ろから来る車たちは、譲るような譲らないような、半端な間合いで通過していくばかり。なかなか合流できません。
ようやく流れに紛れ込めたとき、彼の高級車はちょうど私のすぐ後ろにつく位置になっていたのです。
市街地の信号で停まると、バックミラーいっぱいに、さっきの男性の顔が映り込みました。
口は固く結ばれ、視線はハンドルとメーターのあいだをうろうろするばかり。窓も、すっかり閉まりきっています。
思わず、私は笑ってしまったのです。
声に出ない、口角だけが少し上がる程度の小さな笑いでした。あれだけ急いで、あれだけ怒鳴って、結局たどり着いた場所は、最初に煽ってきた相手の真後ろ。これ以上分かりやすい答え合わせはありません。
信号が青に変わるとき、私はミラーから視線を外しました。先を急ぐ人ほど、最後にどこへ並んでいるか見えていない。
そんな当たり前を、夕方の県道がそっと教えてくれた気がしたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














