「番号、もらっとくね」知人の紹介だからと安心していた自営業の男。だが、知人が席を外した瞬間の行動に絶句
「紹介されたのだから大丈夫」という思い込み
あの頃の自分は、何度も心の中でその言葉を繰り返していた。
「紹介されたのだから大丈夫」
それが判断を鈍らせた。
四十代の頃、共通の知人を通じて業界で自営業を営む男性と知り合った。
仲介者の男性が常に間に入る関係で、最初は三人で顔を合わせる機会が続いた。
信頼できる人の紹介なのだから安心だ、と自分に言い聞かせていた。穏やかで礼儀正しく、特別おかしなところもなかった。
ところが、あるとき仲介者から「場所を変えて話そう」と声をかけられ、近所のファストフード店へと連れていかれた。
仲介者が何かを頼みに席を立った隙に、自営業の男性と二人きりになった。そのタイミングで、男性は当たり前のような顔で手を差し出してきた。
「番号、もらっとくね」
大した話はなかったはずなのに、気づくとスマホを覗き込まれ、断りきれないまま電話番号を教えてしまっていた。
その場は何事もなく終わった。軽い世間話だけで店を出て、特別な出来事があったわけでもなかった。だからこそ、後から違和感がじわじわと育っていった。
豹変した二回目の接触
数日後、男性から直接連絡が届いた。
仲介者を通じた雰囲気は跡形もなく消え、個人として踏み込んでくる文面だった。
一回目があれほど淡泊だったのに、二回目はまるで別人のような積極さだった。すぐに会いたい、という内容で、読んだ瞬間、身体の奥がざわついた。
なぜあのとき仲介者は席を立ったのか。
番号を聞く流れが最初から計算されていたとしたら。考え始めると止まらなかった。
仲介者の存在が、信頼を担保する「フタ」として機能していたことに、初めて気がついた。
返事をしないでいると、メッセージがぽつぽつと届いた。
激しく迫るわけでも、強い言葉を使うわけでもなく、一定のリズムで届き続けるのが、かえって不気味だった。
しばらくして連絡は途絶えたが、ほっとする気持ちとは別に、あのファストフード店の光景が何度も頭の中で蘇った。
善意を足がかりにされた記憶
結局、何が目的だったのかは分からないまま終わった。
紹介という信頼を足がかりにして、人のいない隙間でそっと番号を確保する。そういう段取りを意識的に踏む人間がいることを、四十代になって初めて体で知った。
知人の紹介だから安全だ、という思い込みがいかに脆いかを知った出来事だった。
今でも「大丈夫だから」と自分を納得させていたあのときの自分を思うと、背筋が寒くなる。善意の上に乗ってくる動き方が、世の中には確かに存在する。
あの仲介者が意図的に関与していたのかどうか、それも今となっては分からないことのひとつだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














