「私の声、聞こえてますよね」上司にだけ愛想を振りまいた先輩→エリアマネージャーの一言で退職した後味の悪さ
先輩の態度が変わる瞬間
アパレルショップで働いていた20代のころ、ひとりの先輩社員の存在が頭から離れなかった。
その先輩は、店長や担当社員が来るたびに顔つきが変わった。
「いつもお疲れさまです!」と明るく声をかけ、仕事への意欲を見せる。誰が見ても熱心な社員に見えた。
でもその数分前、バイトの私が「おはようございます」と声をかけると、一切反応がなかった。
「私の声、聞こえてますよね」
心の中でそうつぶやきながら、私は着替えを済ませて売り場に出た。
先輩は新人やバイトには挨拶も返さない。
仕事を聞いても短く「うん」と言うだけか、完全に無視する。
それが日常になっていた。
バイト仲間だけが知っていた本当の空気
休憩室でバイト同士が集まると、自然と先輩の話になった。
「あの人、上にはすごく愛想いいよね」「こっちには別人みたい」。
誰もが同じことを感じていた。
接客の笑顔を作りながら、内心では疲れが積み上がっていく。
お客様には丁寧に、先輩には気を使い、それでも返ってくるのは沈黙ばかり。
バイト仲間と愚痴をこぼしながら、なんとか気持ちを保っていた。
先輩の行動は変わらないまま、月日だけが過ぎていった。
転機が来たのは、担当のエリアマネージャーが変わったときだった。
新しいマネージャーは現場をよく見る人で、バイトスタッフとも気さくに話した。店の空気を肌で感じるタイプだった。
一言で変わった結末と残る後味
そのマネージャーが先輩を直接呼んで話をしたと聞いた。
「社会人として挨拶もできていない」という指摘だったらしい。
長年その店に勤めてきた先輩が、しばらくして退職した。
私は驚いた。
そして、どう受け取ればいいのか分からなくなった。
何年もかけて染み付いた態度が、外からの言葉一つで終止符を打たれた。
その結末は私たちバイトが望んでいたものだったはずなのに、いざそうなると後味の悪さだけが残った。
先輩にとって挨拶とは何だったのか。上に向ける笑顔と、こちらへの沈黙の間にある距離はどこから来たのか。
きっと先輩自身も、自分がなぜそうしていたのか気づいていなかったのかもしれない。答えは出ないまま、あの職場での日々だけが記憶にとどまっているのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














