「ずれてくれればいいのに」会計後にレシートを凝視して動かない前の客→日常で感じた葛藤
会計済みなのに動かない人
近所のスーパーに寄ったときのこと。カゴを提げてレジに並んだら、前の客がちょうど会計を終えたところだった。
よかった、すぐ終わる。そう思った瞬間、前の客が止まった。
レシートを受け取ったまま、その場でじっくり眺めはじめたのだ。
金額の明細を一行ずつ確認するように視線を動かし、それが終わると財布の口を開いて小銭を一枚ずつゆっくりと仕舞っていく。
焦る理由は何もないという空気だった。
レジの台の正面に立ったまま。横にも後ろにも動く気配がない。
私が手に持つカゴを置こうとしても、台の前は完全にふさがっている。
仕方なく、カゴを提げたままその場で立ち続けた。
後ろにもいつの間にか人が増えていた。みんな無言のまま動かない。誰かが何か言うでもなく、ただ静かに時間だけが流れていく。
(一歩だけずれてくれればいいのに)
急かす気は毛頭ない。確認したい気持ちも理解できる。
ただ、台から一歩横にずれてくれるだけで、後ろ全員がすっと動き出せる。たった一歩のことだった。でもその一歩は、最後まで起きなかった。
言葉にならないまま終わった午後
前の客はひとしきり財布の整理を終えると、特に何も気にした様子もなく歩いていった。
私はようやくカゴを台に置き、会計を始めた。
店員は穏やかな笑顔で対応してくれた。何も悪くない。前の客も、きっと悪意があったわけではない。
ただ後ろのことが見えていなかっただけなのだと思う。それは誰にでもあり得ることで、私だって同じかもしれない。
日常のレジ前には、こういう「言えなかった」が静かに積み重なっている気がする。
誰も悪くない。でも誰かが少しだけ後ろを意識してくれたら、その列は少しだけ軽くなれる。
自分もいつか同じようにやってしまっているかもしれない。だからこそ、混んでいるレジを抜けたら、まず一歩だけ動こうと思っている。そう心に決めながら、買い物袋を提げてスーパーを後にした。あの午後の静けさが、まだどこかに残っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














