「野良猫と一緒にしないで!」我が家の庭を荒らした猫。だが、飼い主の主張を覆した証拠とは
毎朝の足跡
一戸建てに越してきて、庭づくりに精を出していた頃の話だ。
ある朝、花壇の土が掘り返され、植えた苗が倒れているのに気づいた。
翌朝も、その翌朝も同じだった。
柔らかい土の上には、小さな肉球の跡がくっきりと残っている。
隣家が飼っている猫と、近所をうろつく野良猫が連れ立って我が家の通路を通っていくのを、私は何度も見かけていた。
妻も困り顔だった。
「せっかく植えた球根も、全部掘り返されてたわよ」植え直すたびに荒らされるのだから、たまったものではない。
意を決して隣家に相談すると、飼い主は心外だという顔をした。
「野良猫と一緒にしないで!」
うちの子はしつけができている、野良猫と同じ扱いは失礼だ、というのだ。
だが我が家の被害は、日に日にひどくなるばかりだった。
「では、うちの庭を荒らしているのは、どの猫なんでしょうか」
そう尋ねても、飼い主は「さあ、知りませんね」と目をそらすだけ。
話は平行線のまま、玄関の戸を閉められてしまった。
落ちていた証拠
ある朝、荒らされた花壇のそばに、一本の首輪が落ちていた。
土をかくときに引っかかって外れたのだろう。
鈴のついた、見覚えのある首輪だった。
私はそれを拾い、写真を撮ってから、隣家のインターホンを押した。
手のひらに載せた首輪を、そっと差し出す。
「これ、お宅の首輪です」
飼い主の表情が固まった。
「どうして、これが……」と口ごもり、それ以上は何も言えない。
先日の強気な態度は、すっかり消えていた。
ちょうど通りかかった近所の方も、「あら、その鈴、いつも聞こえてくる音よね」と足を止めた。
「花壇のそばに落ちていました。掘り返した跡も、写真に撮ってあります」私が静かにそう告げると、飼い主の肩ががくりと落ちた。
しばらく黙り込んだあと、とうとう深く頭を下げた。
「…ごめんなさい。今日から室内で飼います。庭のことも、きちんとお詫びします」
それからは、あの猫が我が家の敷地に入ってくることはなくなった。
飼い主は約束通り、猫を室内で飼うようになったらしい。
荒らされ続けた花壇に、私はまた新しい苗を植えた。今度こそ、しっかり根づいてくれそうだ。
道で会う飼い主は、以前のような強気な顔ではなく、少し決まりの悪そうな表情で挨拶してくる。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














