「お前、浮気疑ってんの?」スマホを隠すようになった彼。だが、画面ロックを外すよう問い詰めた結果
スマホを肌身離さない彼
最初に気になったのは、ごくささいなことだった。以前はソファや机の上に無造作に置いてあった彼のスマホが、気づけばいつも手の中かポケットの中にある。
充電するときも手の届く場所を選んでいて、入浴のときですら手元に置いていた。寝るときは枕の下に滑り込ませて、画面は常に下向きだった。
「スマホ、最近ずっと手放さないよね」と笑いながら言うと、「そう?気にしすぎじゃない」とさらっと流された。その返し方が逆に引っかかった。
確証はないのに、何かが違う感覚がじわじわ積み上がっていった。
そんなタイミングで、友人から「一度ちゃんと確かめた方がいいかも」とメッセージが届いた。
友人の知り合いが、彼と別の女性が連れ立って歩いているのを見たというのだ。日時も場所も具体的で、作り話とは思えなかった。
腕を組んでいたわけではないが、距離の取り方が明らかに親密だったと聞いた。その日、彼は「残業」と言って遅く帰ってきていた。
曜日も時間も、私の記憶とぴたりと一致した。
「ロック解いて見せて」
翌日の深夜、落ち着いて話す場を作った。
彼は最初から防衛的で、「なんでそんなこと聞くの」「お前、浮気疑ってんの?」と、こちらを責める言い方をしてきた。
理不尽だとは思ったが、言い返す気にはなれなかった。感情的になっても何も変わらない。落ち着いて一言だけ言った。
「ロック解いて見せて」
攻めたわけでも、証拠を突きつけたわけでもない。ロックを解いて画面を見せてくれれば終わる話だ、とだけ伝えた。
責める言葉も、泣く素振りも見せなかった。ただ静かにそれだけを言った。沈黙が落ちた。彼の手はポケットの中で握りしめられたままだった。
彼は黙ったまましばらく動かなかった。やがて「…ごめん、わかった」とだけ呟いて、そのまま床に膝をついた。
スマホはポケットから一度も出てこなかった。ロックも解かれなかった。何を言うわけでもなく、ただ床を見ていた。
額が絨毯につくほど深く頭が下がっていた。
それだけで十分だった。泣きたい気持ちと、妙に静かな気持ちが同時にあった。
裏切られた事実は消えない。でも、自分の直感は正しかったこと、そして言い訳よりも先に膝をついてきたこと。その二つだけが、あの夜の記憶として刻まれた。
怒りは後から来た。あの瞬間だけは不思議と冷静でいられた自分が、今でも少し誇らしい。翌朝、預けていた合鍵をテーブルに置いて、無言で部屋を出た。背中越しに彼の声は届かなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














