「俺がいないと何もできないくせに!」20年間、不機嫌な態度をぶつけてくる夫。だが、子供の一言で家出を決意
機嫌をうかがう家
子どもたちは、いつも夫の顔色をうかがって暮らしていた。
下の子は高校生、上の子は大学生。多感な年頃の二人が、家ではいつも息をひそめていた。
夫は結婚した頃から、気に入らないと露骨に不機嫌をぶつけてくる人だった。
20年で、それは私への見下しへと姿を変えていた。
「俺がいないと何もできないくせに!」
受験費用の話を切り出すたび、夫は決まって声を荒げた。
「無駄遣いばかりしやがって、誰の金だと思ってる」
「子どもの将来のことだよ。少しは一緒に考えて」
「考えるのはお前の役目だろ。俺に指図するな」
反論すれば、何日も口をきかない。
家族みんなが、夫の機嫌に振り回されていた。子どもたちは、廊下で父親とすれ違うたびに、肩をすくめて足早に通り過ぎた。
「離れたい」
限界を教えてくれたのは、子どもたちだった。
ある夜、下の子が思いつめた顔で口を開いた。
「お母さん、もうお父さんと一緒にいたくない」
上の子も、まっすぐ私を見て続けた。
「このままじゃ、お母さんが壊れちゃうよ」
その一言が、私の覚悟を決めた。
守るべきは、夫の機嫌ではない。この子たちと、自分自身の暮らしだ。
「お母さん、家を出ようと思う。三人で、やり直そう」
「うん」
子どもたちは、ほっとしたように笑った。
荷造りも手伝うと、二人は自分から申し出てくれた。長いあいだ強張っていた表情が、その時だけふっとほどけた気がした。
それから私たちは、夫に悟られないよう、少しずつ別居の準備を整えていった。
新しい部屋の鍵も、もう手にしていた。
背中を見送れなかった男
「あなた、私もう我慢の限界なの…出ていきます」
決行の朝、私と子どもたちは荷物を運び出した。
夫は仁王立ちで、その様子をせせら笑って眺めていた。
「どうせ生活できずに、頭下げて戻ってくるだろ」
勝ち誇った声だった。
けれど、玄関を行き来する私たちは、誰一人として手を止めない。
最後の荷物を運び出す背中に、夫の視線がさまよう。
「おい、子どもたちも一緒に行くのか。冗談だろ」
「父さん、もう決めたから」
上の子が、振り向きもせずに短く言った。
それだけで、夫の言葉が止まる。
せせら笑いはいつのまにか消え、顔がみるみるこわばっていく。
「待て、話し合おう。なあ、聞いてるのか」
余裕ぶった声は、最後には情けなく裏返った。
それでも、振り返る者は誰もいなかった。後になって、夫の借金が次々と明るみに出た。あの決断に、もう迷いはない。今は子どもたちと、穏やかな夕飯の時間を過ごしている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














