「ねえ、もう褒め合うの、やめにしない?」愛想笑いばかりするママ友たち。だが、年長のママさんの一言で空気が一変
合わせるのに疲れていた
子どもが小さかった頃、近所のママたちと集まる機会がよくあった。
けれど私は、その時間が少しだけ苦手だった。
「〇〇ちゃんのママ、今日も素敵だね」
「そんなことないよ、こっちこそ」
顔を合わせるたび、誰かが誰かを褒める。お互いを持ち上げ合うのが、暗黙のルールのようになっていた。
褒められれば、こちらも何か返さなくてはいけない。
その応酬に、私は毎回くたびれていた。
「それ、本気で言ってるのかな」
口には出せないけれど、心のどこかで、いつもそう疑っている自分がいた。
表向きの笑顔の下で、みんな何を思っているのか。考えるほど、息苦しくなる。
だから集まりのたび、私はさりげなく輪を離れ、別の友人のそばへ移っていた。
沈黙を破った笑い
ある日の集まりも、いつもの褒め合いから始まった。
ひととおり一巡したところで、グループで最年長のママが、おもむろに笑った。
「ねえ、もう褒め合うの、やめにしない?」
その瞬間、全員の動きが止まった。
誰も、何も言えない。
場が凍りついたように静かになった。
私も、移動しかけた足を止めて、息をのんだ。
空気が悪くなるのでは、と身構える。
ところが、一人のママが、こらえきれずに肩を震わせた。
「実は私も、ずっと思ってた」
その吹き出すような声を合図に、固まっていた全員の表情が、いっせいにゆるんだ。
本音がこぼれた日
「正直、毎回褒めるとこ探すの、必死だったんだよね」
「私もそれ!ネタ切れで焦ってたし、褒められたら何返そうって、そればっかり」
誰かが本音を口にするたび、あちこちで笑いがはじけた。
みんな、同じ気持ちを抱えていたのだと、その場のざわめきが教えてくれた。隣にいたママが、私の腕をつついて笑う。
「ねえ、あなたもでしょ?」
「……うん、ずっとそう思ってた」
うなずいた瞬間、肩の力がすっと抜けた。
「もう無理しなくていいって、ほっとした」
年長ママの一言が、空気をすっかり塗り替えていた。
それ以来、集まりで聞こえてくる言葉が変わった。
「今週、まじで疲れた〜」
「わかる、もう限界。聞いてよ」
取り繕った褒め言葉は、いつのまにか姿を消した。代わりに飛び交うのは、しんどさを笑いに変える、飾らない会話だった。
誰かの愚痴に大きくうなずき、誰かの失敗談に腹を抱える。そんな時間が、いつのまにか待ち遠しくなっていた。
気づけば私も、輪を抜け出すことをやめていた。今では、誰よりも本音をこぼして笑っている。
「ここにいると、楽だな」
無理に褒め合っていた頃には、味わえなかった居心地のよさだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














