「仕事が長引いた」と毎晩遅い時間に帰宅する夫。だが、ポケットの中の高級店のレシートで嘘が露呈
増えた「長引いた」
結婚五年目の頃から、夫の帰宅時間がじりじりと遅くなっていた。理由は、いつも判で押したように同じだった。
「仕事が長引いた」
最初は信じていた。
残業の多い時期もある。
そう自分に言い聞かせていた。けれど、その言葉を聞く回数が、月を追うごとに増えていく。
休日も、スマホを手放さなくなった。私が近づくと、さりげなく画面を伏せる。問いかけても、答えはやはり一つだった。
「考えすぎだよ。仕事が忙しいだけ」
言葉とは裏腹に、夫の目はどこか落ち着かなかった。
レシートと通知
その違和感が形になったのは、何気なく洗濯物を畳んでいた時だった。夫のジャケットのポケットから、折りたたまれたレシートが滑り落ちる。
仕事の付き合いとは思えない、夜の高級店。
金額も、二人分のコース料理だった。日付は、夫が「長引いた」と言って遅く帰った日と、ぴたりと重なる。
確かめるように夫のスマホを見ると、画面に通知が浮かんでいた。
「また会いたいな」
女性からのメッセージ。
ロックされていて中身は読めない。それでも、点と点が一本の線でつながった。
その夜、私はレシートをテーブルに置いて夫を待った。帰ってきた夫に、できるだけ静かに尋ねる。
「このお店、行ったの?仕事で遅いって言ってた日に」
「……同僚と、軽く飲んだだけだって」
短い沈黙が、部屋に落ちる。
整えた記録の前で
夫の表情が、見る間に変わっていった。
余裕の色が抜け、頬がこわばる。
観念したように、夫は交際相手の存在を認めた。名前を聞いて、私は二の句が継げなかった。
子どもを介して何度も挨拶を交わし、立ち話までしていた、顔見知りのママ友だったからだ。
すぐ近くにいた人だったと知って、足元が崩れるような感覚に襲われた。
その場で責め立てることはしなかった。
後日設けた話し合いの場で、二人は私が並べた事実を前に、認めるよりほかなかった。
「黙っていて、本当にごめんなさい」
うつむく夫に、私は一言だけ返した。
「これで、はっきりしたね」
離婚の手続きは、私の用意した条件のまま進んだ。
「仕事が長引いた」と繰り返していた人が、最後は私の前で小さくなっていた。嘘を重ねた側と、事実を握った側で、立場はとうに逆転していた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














