「後から来たくせに」理不尽な苦情を重ねた近隣住民。だが、管理会社が測った数値に絶句
「後から来たくせに」という理屈で始まった攻撃
僕が借りたのは、戸建て住宅街の真ん中に新しく建った賃貸マンションの一室だった。
契約のときは気づかなかったが、この建物は周辺の住民にとって「あとから割り込んできた邪魔者」だったらしい。
入居してわずか数週間で、管理会社を経由した苦情が次々と届き始めた。
内容はいつも判で押したように同じ。
窓を開けると声が漏れる、テレビの音が気になると。
だが僕の暮らしは、どこにでもあるごく普通の生活そのものだ。
夜中に騒いだ覚えも、大音量で音楽を流した覚えも、ただの一度もない。
それでも苦情だけは律儀に繰り返された。
回を重ねるごとに、僕の中で疲労と苛立ちが澱のように溜まっていった。
悪いことなど何ひとつしていないのに、なぜこちらばかりが肩身の狭い思いをしなければならないのか。
それでも近所と正面から事を荒立てるのは気が引けて、僕はしばらくの間、ただ黙って耐え続けるしかなかった。
夜、窓を閉め切った蒸し暑い部屋で、僕は何度も天井を睨んだ。
苦情の主は、向かいの一戸建てに住む一家だった。ある朝、ゴミ出しの途中でその家の主人と鉢合わせた。
せめて挨拶をと口を開きかけた僕に、相手は険しい顔でこう言い放った。
「後から来たくせに」
言葉を失った。
抗議したところで、どうせ感情論の押し付け合いにしかならない。ならばと、僕は別の方法で決着をつけようと腹を決めた。
測定結果を前に、一家は何も言えなくなった
僕が選んだのは、管理会社に音の実測を頼むことだった。
「苦情がこれだけ続くなら、いっそ客観的な数値を出してほしい」
担当者はこちらの言い分をよく理解して快く応じてくれ、後日、測定機器を手に部屋へやってきた。
窓を開け放ち、いつもの音量でテレビをつけ、普段どおりの声で会話をする。
数分後に示された数値は、周辺環境の基準を大きく下回るものだった。
「この程度で苦情というのは、さすがに通らないと思います」
担当者はきっぱりそう言い切り、その記録を苦情主の一家にも直接示してくれた。
動かしようのない数値を突きつけられた一家は、絶句したまま何ひとつ返せなかったという。
あれほど強気で執拗だった苦情は、その日を境にぴたりと消えた。理不尽な思い込みは、たった一枚の測定記録の前ではあっけないほど無力だった。
窓を開けるたびに感じていた後ろめたさから、僕はようやく解放されたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














