「1人3万円で頼んだ」披露宴後に知った妻側の来賓の正体。だが、義父がそこまでした理由とは
「人数が合わない」と譲らなかった義父
二十年以上前、妻との結婚が決まり、披露宴の準備を進めていたときのことです。
私の実家は親戚付き合いが濃く、両親のきょうだいやいとこまで招待すると、それなりの人数になりました。
一方、妻側は親族が少なく、遠方に住んでいる人も多かったため、出席できるのは十数人ほどでした。
私たちは身内中心の小さな披露宴にするつもりでしたが、義父だけは納得しませんでした。
「新郎側と人数が違いすぎる。こちらにも仕事関係の人を呼ぶから心配しなくていい」
後日、義父から渡された招待客の名簿には、会社役員や大学関係者など、立派な肩書きが並んでいました。
「こんな人たち、お父さんと付き合いがあったの?」
妻も知らない名前ばかりだったようです。
義父は「昔からの仕事関係者だ」と説明し、それ以上は話そうとしませんでした。
妻は少し気にしていましたが、自分の父親が招待した相手です。まさか嘘があるとは思わず、そのまま準備を進めました。
書類に記されていた「代理出席6名」
披露宴当日、義父が招いた6人は、開始前から親しげに義父へあいさつしていました。
乾杯の音頭を取った男性も、落ち着いた様子で私たちの門出を祝ってくれました。
ただ、妻が幼い頃の話を振っても、誰もが「お父さまと仕事でお世話になっていて」と答えるだけでした。
長い付き合いだという割に、具体的な思い出はひとつも出てきません。
それでも式は滞りなく進み、私たちは大きな問題もなく披露宴を終えられたことに安堵していました。
事情が判明したのは、その翌日です。
会場へ支払う費用を確認するため、妻が義父から預かった書類を整理していると、一枚の請求書が出てきました。
そこには、ある会社の名前とともに「披露宴代理出席6名、18万円」と記されていたのです。
妻はしばらく請求書を見つめたまま、声を出せずにいました。
私たちはすぐに義父へ確認しました。
「この代理出席というのは、昨日来ていた人たちのこと?」
義父は隠し通せないと思ったのか、意外なほどあっさり認めました。
「1人3万円で頼んだ。向こうの親族ばかりでは、こちらが見劣りするだろう」
「人数なんて気にしていないって、最初から言ったじゃない」
妻がそう訴えても、義父は「披露宴には体裁も必要だ」と繰り返すばかりでした。
私の親族は、慣れない礼服を着て遠方から駆けつけ、本心から私たちの結婚を祝ってくれました。
その向かいに座っていた義父の来賓が、肩書きまで用意された見知らぬ人たちだったと知り、私は何とも言えない気持ちになりました。
妻はその日、義父に「私たちの結婚式を、体裁のための道具にしないでほしかった」と伝えました。それ以来、親子の間には以前にはなかった距離ができたように思います。
披露宴から二十年以上が過ぎました。今でも当日の写真を見ると、妻側の席でほほ笑んでいる6人の姿が目に入ります。
式自体は穏やかな一日だったはずなのに、その人たちが誰だったのかを知っている私たちにとって、写真は義父が守ろうとした「体裁」の重さを思い出させるものになっています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














