「もう麺伸びてるぞ!」赤ちゃんを抱いて食べられない私に言い放った夫。だが、夫に正論をぶつけた結果
お湯を入れてくれた、そこまでは良かった
出産したばかりの頃、赤ん坊は私の腕から一分も離れてくれませんでした。授乳して、抱いて、また授乳して。昼ごはんは、いつも後回しです。
その日、夫がカップ麺を買ってきました。
「ちゃんと卵も落としといたぞ」
お湯まで注いでくれて、正直ありがたいと思ったのです。
ところが夫は、自分のぶんだけをテーブルへ運びました。3分ぴったりでふたを開け、湯気ごとかき込んでいきます。
「うん、うまい」
麺をすする音と、湯気の匂いだけが部屋に広がります。私のカップのふたには、夫が乗せた割り箸がそのまま置かれていました。
私の腕の中では、赤ん坊がようやくうとうとし始めたところでした。今おろせば、また泣き出す。抱いたまま、私は自分のカップを眺めているしかありません。
食べ終えた夫は、容器もそのままにゲーム機の電源を入れました。派手な効果音が、部屋いっぱいに響きます。
「ちょっと、静かにして」
音量が少し下がっただけで、夫は振り向きもしませんでした。
言い返した瞬間、夫の顔から表情が消えた
三十分ほどして、やっと子どもを布団におろせました。腕はしびれ、肩は石のように固まっています。ゲームの効果音は、そのあいだ一度も止まりませんでした。
テーブルのカップは、汁がほとんど残っていません。ふたを開けると、卵は白く固まり、麺は容器の縁までふくらんでいました。
「卵も入れたのに、もう麺伸びてるぞ!」
ゲームをしたまま、夫はそう言ったのです。私はふたを閉じて、まっすぐソファの前に立ちました。
「伸ばしたのは、あなたなんだけど」
夫の指が、コントローラーの上で止まります。
「3分で食べられる人と、抱っこしながら30分待つ人。この差、分かってる?」
夫は何か言おうとして、息だけを吸いました。それからゲームの画面へ視線を逃がし、けれど戦況はとっくに終わっています。最後は電源を落として、こちらを見ないまま小さくうなずきました。
「……次から、俺が先に抱く」
私は白く固まった卵ごと、伸びた麺をすすりました。おいしくはありません。それでも、その日の昼ごはんは、ちゃんと最後まで食べ切れました。
あれ以来、我が家のカップ麺は夫が私に手渡してから、自分のぶんにお湯を入れる順番になりました。子どもは、そのあいだ夫の腕の中です。
「ゆっくり食べていいよ。3分は俺が待つから」
待つ側に回ってはじめて、あの三十分がどれだけ長いかを知ったのでしょう。伸びた麺の重さは、抱いた人にしか分かりません。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














