「うちは毎日30分、家でも練習してるよ」笑顔で見下すママ友。だが、本当の目的を知って、背筋が凍りついた
発表会の前に言われたこと
お迎えの列に並んでいると、同じ組のママ友が横に来ました。
話し上手で、誰とでもすぐ打ち解ける人です。
「発表会の練習、お宅の子ついていけてないみたいよ」
先生からはひと言も聞いていません。
むしろ前の週の面談では、楽しそうにやっていますと言われたばかりでした。
返事に詰まっていると、彼女は明るい声で続けました。
「うちは毎日30分、家でも練習してるよ」
「そうなんですね」
「やっぱり差が出ちゃうから、お宅も見てあげたら」
責める調子ではありません。
世間話の顔のまま、こちらの家を一段下に置いていく話し方でした。何と返せばいいのか分からず、私は列が進むのに合わせて一歩前へ出ました。
次に驚いたのは、クラスのメッセージアプリのグループです。
持ち物の変更を私が流したところ、すぐに返信が付きました。
「こういうの、もっと早く言ってくれないと困るんだけど」
全員が見えるところでした。しばらく誰も何も書きません。
画面の上で、私の連絡だけが浮いて見えました。あとから個別に謝りましたが、返ってきたのは短い一文だけでした。
「別にいいけど、もう少し気をつけてね」
運ばれていた私の一言
決定的だったのは、その数日後です。
園庭で、ほとんど話したことのないママに呼び止められました。
「おうち、大丈夫ですか」
何のことか分からず聞き返すと、彼女は声を落としたのです。
「ご主人が全然帰ってこられないと聞いて、心配で」
私が話したのは、夫が仕事で忙しくて帰りが遅い、それだけです。しかも相手は、あのママ友ひとりでした。
翌朝、登園の時間に本人へ確かめました。彼女はまったく慌てませんでした。
「話したわよ。3人だけ」
「どうして、そんな話を」
「心配してあげたのよ」
笑顔のままでした。悪いことをした顔ではありません。
この人の中では、人の家の事情は心配という名前をつけられて運ばれていくのだと分かりました。どこまで届いたのか、途中で何が足されたのかは、確かめようがありません。
門の前で子どもの手を握り直したとき、背筋が冷たくなったのです。
その日から、私は挨拶だけにしました。連絡事項も、必要なことを一度書くだけにとどめました。
おかしなもので、しばらくすると周りのママたちも、私と同じくらいの距離で彼女に接するようになりました。誰も理由を口にしません。ただ、立ち話が短くなっただけです。
今は穏やかに過ごせています。それでも行事の日、彼女が誰かの耳元で何かを話して笑っているのを見ると、そちらから目を離せなくなります。あの笑顔の下で、今日は誰の何が運ばれているのだろうと。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














