「我慢させるとワガママになるよ」娘にチョコを勝手にあげようとした義母。だが、初めて言い返した結果
誰も、こちらを見なかった
お盆の午後、夫の実家の居間は麦茶とお線香の匂いがしていました。
娘が畳の上でごろごろしながら、「おかしがいい」とねだり始めます。
義母はすぐに台所へ立ち、両手いっぱいに菓子を抱えて戻ってきました。
チョコレートの箱もスナック菓子の袋も、私に確認のないまま次々と開けられていきます。
孫が可愛くて仕方がないのだと、その手の速さでわかりました。
「すみません、チョコはまだ食べさせていなくて」
虫歯予防のために、我が家ではまだ早いと決めていたことでした。
せっかく用意してくれたものを断るのは気が引けて、角が立たないよう、笑顔のまま言ったつもりです。
それでも義母は、不満をそのまま顔に出しました。
「我慢させるとワガママになるよ」
「神経質に育てると、あとで困るのはあなたよ」
居間の端まで届く声でした。娘がきょとんとした顔で、私と義母を見比べています。
私は思わず、夫のほうを見ました。夫は湯呑みの縁を指でなぞったまま、顔も上げずに言いました。
「まぁいいじゃん」
義父は気まずそうに新聞へ目を落とします。誰も、こちらを見ませんでした。
ここは夫の実家で、この居間に味方はいないのだと、静かに思い知らされた気がしました。
笑顔のまま、一度だけはっきり伝えた
ここで黙ってしまったら、この先も同じことが続く。
娘のことを決めるのは、やっぱり私たちでいたい。
そう思った瞬間、不思議と気持ちが静かになりました。言い返したいのではなく、ただ伝えたいだけでした。
私は笑顔を消さないまま、義母の目をまっすぐ見て言いました。
「お義母さん、うちで決めていることなんです」
声を張ったわけではありません。
それでも居間の空気が、すっと止まったのがわかりました。
「甘いものが全部だめだと言っているんじゃないんです。チョコだけは、もう少し先にしようって、家で決めたんです」
義母は何か言いかけて、そのまま口を閉じました。柱時計の音が聞こえるくらいの間があって、ようやく短く答えました。
「……そう」
そしてチョコレートの箱を脇へ寄せ、袋の中からおせんべいを選んで、娘の前に置いてくれました。
娘は両手で受け取り、うれしそうにかじりつきます。その姿を見て、義母の頬がやっとゆるみました。
孫が可愛くて仕方がない人なのだと、あらためて思いました。
それ以来、義母は娘に何かを渡す前に、必ず私を振り返って「これ、あげていい?」と聞いてくれます。あの日、笑顔のまま一度だけはっきり伝えたことが、たぶん一番の近道でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














