「ちょっと、電話やめてもらえません?」カフェで電話していた私。だが、注意された私が伝えた事実
念のため、店員に聞いてから席についた
出張先で少し時間が空き、私は駅近くのカフェに入った。
メールを何通か返したかったのと、あとで仕事の電話が一本入る予定だった。静かな店で電話をするのは気が引けるので、案内してくれた店員に念のため確認した。
「すみません。電話がかかってくるかもしれないんですが、この辺なら大丈夫ですか?」
店員は奥の一角を示した。
「はい。こちらのエリアでしたら大丈夫ですよ」
「よかった。ありがとうございます」
それなら安心だと思い、私はその席でコーヒーを飲みながら仕事をしていた。
しばらくすると、予定していた電話が入った。
「はい、お疲れさまです。今、大丈夫ですよ」
なるべく声を抑えて話していると、隣の席の男性が何度かこちらを見るのが分かった。
気になるのかな、と思った直後だった。
「ちょっと、電話やめてもらえません?」
男性が、少しいら立った声で話しかけてきた。
「すみません。ちょっと、電話やめてもらえません?ずっと声が聞こえてくるんで」
私は思わず「あ……すみません」と返した。
店員には確認している。そう言おうかとも思ったが、電話の相手を待たせたまま言い合いになるのも嫌だった。
「すみません、一度切ります。またあとでかけ直します」
電話を終えると、男性は小さく息を吐いた。
「カフェで電話されると、落ち着かないんですよ」
言い方には少し引っかかった。それでも、静かに過ごしたかった気持ちまで否定するつもりはなかった。
「そうですよね。ただ、ここなら大丈夫だと店員さんに聞いていたので……」
私がそう答えると、男性は少し意外そうな顔をした。
「本当?ここ電話していいんですか?」
隣から聞こえた、何気ない一言
男性は一瞬黙り、周囲を見回した。
ちょうど近くを通った店員にも、「ここって電話いいんですか?」と確認する。
「はい。この一角は通話可能な席になっています」
店員がそう答えると、男性は「ああ、そうだったんですね」と少し気まずそうにうなずいた。
それから私のほうを見て、声を落とした。
「すみません。店内全部だめなんだと思ってました」
「いえ。僕も、もう少し声を小さくすればよかったです」
そう返すと、男性も「いや、こっちも急に言ってすみません」と頭を下げた。
そのあとは、お互いに何事もなかったようにそれぞれの時間へ戻った。
私は電話の続きは店を出てからすることにした。ルール上は問題なくても、すぐ隣に気になる人がいると分かった以上、無理に続ける必要もないと思ったからだ。
誰かが正しくて、誰かが完全に間違っていたという話ではない。
ただ、お互いが思い込んでいたことを一度確認しただけで、険悪になりかけた空気は案外あっさり元に戻った。
店を出るころには、さっきまでの気まずさもほとんど残っていなかった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














