「会計する前に食べちゃったんですか」支払いをするからと未会計の食品を食べた客。だが、後ろに並んでいた人の一言に、客が固まった瞬間
空になった包装を持ってきた客
学生のころ、私はコンビニでアルバイトをしていました。夕方になるとレジには列ができ、会計を終えてもすぐ次のお客さんが来るような時間帯でした。
そんなある日、ひとりのお客さんがカウンターに置いたものを見て、私は手を止めました。
おにぎりの包装と、お茶の空になった容器です。バーコードがある部分だけは残っていましたが、中身はありません。
「中身はもう食べたけど」
初めてのことで、私はどう対応すればいいのか分かりませんでした。
店長に確認すると、今回はそのまま会計をしてもらうよう言われました。
ところが、その方は後日も同じように、食べ終わった商品の包装をレジへ持ってきました。きちんと代金は払うので、私も次第に驚かなくなっていました。
後ろから聞こえた、素朴な一言
ある夕方、その方がまた空になった包装をカウンターへ置きました。
私がバーコードを読み取ろうとしたとき、後ろに並んでいた人が不思議そうに手元を見て、思わず声を上げました。
「もしかして、会計する前に食べちゃったんですか」
責めるような言い方ではありませんでした。本当に驚いて、確認しただけという声でした。
それでも、その方は一瞬動きを止めました。そして後ろを振り返り、小さく「いや、まあ……」と答えました。
レジの周りに、少し気まずい空気が流れました。私は何も言わず、いつもどおり金額を伝えます。後ろの人もそれ以上何かを言うことはなく、自分の会計を終えると店を出ていきました。
きっと、注意するつもりで口にしたわけではなかったのだと思います。
次に来た日は、封が開いていなかった
それから間もなく、その方が再び店に来ました。
列に並んでいる姿を見て、私はまた空の包装が置かれるのだろうと思っていました。
ところが、カウンターに置かれたおにぎりもお茶も、今度はまだ封が開いていませんでした。
私はいつもどおりバーコードを読み取り、金額を伝えました。その方も特に何も言わず、商品を受け取って店を出ていきます。
少なくともその日は、会計を済ませる前に商品を開けることはありませんでした。
店長が注意したわけでも、私が何かを言ったわけでもありません。ただ、後ろに並んでいた人が素直に驚いただけです。
何度も見ているうちに私たち店員が慣れてしまっていたことも、初めて見た人には不思議に映ったのでしょう。
あの人の一言がどこまで影響したのかは分かりません。それでも、次に来たときの未開封のおにぎりを見ると、私は少しだけほっとしたのでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














