「まだかかりそう?」行列が苦手な夫。だが、自分の食べたいものを前にして初めて言った一言
行列を見ると、すぐに別の店を探す夫
夫は、待つのがあまり得意ではありません。休日に出かけて行列を見つけると、何を売っているのか確かめる前から、「別のところにしよう」と言うことがよくありました。
何か月か前、家族で住宅展示場のイベントへ行ったときのことです。会場の隅にあった売店のアイスがどうしても食べたくなり、私は長く伸びた列の最後尾に並びました。
夫と子どもには近くで待っていてもらいましたが、なかなか列が進みません。
しばらくすると夫が、「まだかかりそう?」と聞いてきました。
「もうちょっとだと思う」
そう答えて待ち続け、ようやく買えたアイスは、待ったぶんまでおいしく感じました。
夫は「俺ならそこまで待てないな」と笑いました。私は自分が食べたくて並んだのだから、それ以上は何も言いませんでした。
今度は夫が、行列の前で足を止めた
それから何か月かして、家族で別のイベントへ出かけました。
会場を歩いていると、それまで隣にいた夫が急に足を止めます。視線の先には長い列ができていました。
夫が以前から「一度食べてみたい」と話していたものの店でした。
私はてっきり、「混んでるからやめよう」と言うものだと思いました。
ところが夫は列をしばらく眺めてから、こう言いました。
「これくらいなら、俺は並ぶけど」
夫が自分から行列に並ぶと言ったのは、珍しいことでした。
私と子どもは近くのベンチで待ち、夫は一人で最後尾につきました。最初は時々こちらへ手を振っていましたが、三十分ほどすると、列の先を何度も確認するようになりました。
私は思わず笑いながら声をかけました。
「まだかかりそうだね」
夫も苦笑いしながらうなずきました。
「待ったかいはあったな」
しばらくして、夫はようやく買うことができました。
ひと口食べると、「うまい」と言い、もう一口食べてから続けました。
「待ったかいはあったな」
それを聞いて、私は以前アイスの列に並んだ日のことを思い出しました。
すると子どもが、「パパも今日は並んだね」と笑いました。
夫も「あれだけ食べたかったらな」と笑っています。
それ以来、夫が行列好きになったわけではありません。長ければ今でも別の店を選びます。
ただ、私が並びたいと言ったときに、最初から「やめよう」と言うことは減りました。「どのくらい待ちそう?」と聞いて、一緒に考えるようになったのです。
同じ待ち時間でも、自分が何を待っているかで感じ方は変わるものなのかもしれません。夫が自分から列の最後尾に立ったあの日、私はそんなことを少しだけ面白く感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














