「思いやりのある子に育つのよ」別々に孫を見に来た義父母。思わず夫婦で笑った理由とは
朝七時前、最初にやって来たのは義父だった
息子が生まれて間もないころ、義父と義母はよく孫の顔を見に来ていました。
ある朝、七時前に玄関のチャイムが鳴りました。やって来たのは義父です。
「起きてるかと思って、ちょっと顔を見に来た」
息子はまだベビー布団の上で眠っていました。義父は布団のそばに座ると、起こさないように顔をのぞき込みます。
「よく寝てるなあ。優しい子に育つんだぞ」
もちろん、息子は眠ったままです。
義父は三十分ほど孫を眺め、お茶を一杯飲んで帰っていきました。私と妻は湯呑みを片づけ、ようやく朝食を食べようと食卓につきました。
ところが、それから二時間ほどしたころです。
もう一度、玄関のチャイムが鳴りました。
今度は義母が、同じ布団をのぞき込んだ
玄関に立っていたのは義母でした。手には菓子折りを持っています。
「近くまで来たから、顔だけ見て帰ろうと思って」
妻と顔を見合わせました。義父が来たことは伝えましたが、義母は「あら、そうだったの」と少し驚いた様子でした。
それでも、せっかく来たのだからと和室へ案内します。
息子は朝からほとんど起きておらず、まだ同じように眠っていました。
義母も布団のそばへ腰を下ろし、しばらく顔を眺めています。
「よく寝てるわねえ」
そう言いながら毛布の端をそっと直し、息子に小さな声で話しかけました。
「思いやりのある子に育つのよ」
私は少し前に聞いた義父の言葉を思い出しました。
言い方は違うのに、言っていることはよく似ています。
義母は「これは生菓子だから冷蔵庫に入れてね」と菓子折りを置き、しばらくすると帰っていきました。
二人きりになってから、妻が吹き出した
玄関の扉が閉まると、私たちはまた食卓へ戻りました。
朝に入れたお茶はすっかり冷めています。
妻が湯呑みを持ちながら、ぽつりと言いました。
「二人とも、似たようなこと言ってたね」
私も思わず笑いました。
「お父さんは『優しい子』で、お母さんは『思いやりのある子』だったな」
「それで本人は、二回とも寝てたけどね」
妻がそう言って、今度は声を出して笑いました。
初孫がかわいくて、少しでも顔を見たい。それだけなのだと思います。
こちらとしては朝から二度お茶を出すことになりましたが、同じ日に別々にやって来て、似た言葉を孫にかける二人を見ていると、夫婦だなあと妙に納得してしまいました。
息子が大きくなった今でも、義父と義母はそれぞれ違う言い方で息子を気にかけています。あの朝のことを思い出すたび、妻とは「やっぱり似てるね」と笑っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














