tend Editorial Team

2026.09.06(Sun)

「そんなに急かすなよ、身内だろ」2万円を3年間返さない兄。母にだけ言えずにいる理由

「そんなに急かすなよ、身内だろ」2万円を3年間返さない兄。母にだけ言えずにいる理由

翌月に返すはずだった2万円

兄に2万円を貸したのは、兄が転職した直後でした。

「今月だけ少し助けてほしい」と頼まれ、返すのは翌月という約束でした。

兄からはそのとき、「母には心配をかけたくないから、このことは言わないでほしい」とも言われました。

すぐに返ってくるなら、わざわざ母に話す必要もない。私もそう思っていました。

ところが翌月になっても、2万円は戻ってきませんでした。

こちらから聞くと、「来月には返す」と返事が来ます。さらに何か月かたってもう一度聞いても、返ってくる言葉はほとんど同じでした。

そんなやり取りを繰り返すうちに、三年が過ぎました。

ある週末、実家の近くのファミリーレストランで兄と会いました。

兄は先に席についていて、私を見るとドリンクバーのグラスを一つ差し出しました。

話しているうちに、最近洗濯機を買い替えたという話になりました。

「型落ちで安かったんだ。乾燥までやってくれるやつ」

以前、兄の部屋へ行ったときには新しいゲーム機も置かれていました。

生活に余裕があるのかどうかは私には分かりません。ただ、三年間返ってこない2万円のことが、どうしても頭に浮かびました。

「あの2万円、そろそろ返せない?」

兄は少し黙ってから、グラスを置きました。

「覚えてるよ。ただ、いろいろ出費が続いててさ」

「翌月に返すって言ってたよな」

「そんなに急かすなよ、身内だろ」

それ以上は言い返せませんでした。

母には、今も話せていない

数日後、同期と食事をしたとき、初めてこの話をしました。

「三年前に兄に2万円貸したんだけど、まだ返ってきてない」

「それ、親には言ったの?」

私は首を振りました。

兄から口止めされていたのは最初だけです。けれど翌月、その次の月と黙っているうちに、いつの間にか母へ話すきっかけを失っていました。

今さら言えば、三年間黙っていた理由まで聞かれるでしょう。兄との間だけで終わらせたい気持ちもありました。

その週末、母の家で夕飯を食べました。帰り際、母が何気なく兄の話をしました。

「あの子、最近どうしてるのかしら。あんたとは話してるんでしょう?」

「まあ、たまにね」

喉まで出かかった2万円という数字を、その日も言えませんでした。

玄関で母から煮物の入ったタッパーを渡され、私はそのまま家を出ました。

兄をかばいたいわけではありません。ただ、たった2万円の話を三年間黙っていたことまで含めて母に話すのが、いつの間にか難しくなっていました。

次に兄と会ったときには、「来月」ではなく、いつまでに返すのかをきちんと決めようと思っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.24(Sat)

「大事な人へのプレゼントなんです」恋人への贈り物だと張り切った店員。数日後、恥ずかしい勘違いが発覚
tend Editorial Team

NEW 2026.10.24(Sat)

「親子なんだから返す必要なんてないだろ」100万円を返さない父。だが、10年分の家計簿を開いた母の一言
tend Editorial Team

NEW 2026.10.24(Sat)

「自分で選ぶから、あっちに行っててちょうだい」花屋のケースに手を伸ばした客。だが、花束に付いた札を見て黙った理由
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.03.23(Mon)

「大人なのにそんなことも知らないの?」路上でポイ捨てする男。だが、子供の勇気ある一言で態度が一変
tend Editorial Team

2026.04.30(Thu)

「俺が子供見とくよ」と言ってくれた夫。リビングが静かすぎるので様子を見ると、最悪の光景が
tend Editorial Team

2026.01.25(Sun)

「財源はどこに?」高市首相の「食料品税率ゼロ」に『国民を馬鹿にしている』と怒りの声、実現性の乏しいバラマキ案に透ける焦り
tend Editorial Team