「旦那さんもご苦労されると思いますよ」新婦を下げ続けた上司の祝辞。だが、同僚から聞こえた本音とは
職場からの祝辞が、なかなか終わらない
友人の披露宴に出席したときのことです。
披露宴の中ほどで、司会から「新婦の職場の方よりご挨拶をいただきます」と紹介され、一人の男性がマイクの前に立ちました。
新婦の上司だと聞いていたので、私は仕事ぶりや門出を祝う言葉が続くのだと思っていました。
ところが、最初に出てきたのは意外な言葉でした。
「彼女は、借りてきた猫のように静かな人でしてね」
男性は笑いながら続けます。
「入社してから8年、私が面倒を見てきたようなものです」
最初は冗談を交えた紹介なのだと思いました。
しかし、その後も話の方向は変わりません。
「頼んだ資料がどこにあるか分からなくなることもありましてね。探すのはいつも私でした」
ところどころで男性自身は笑っていましたが、会場から大きな笑い声が起きることはありませんでした。
新婦の父は膝に手を置いたまま前を向き、母は水の入ったグラスへ視線を落としていました。
新郎も、笑顔というより困ったような表情をしています。
それでも男性は話を続けました。
「まあ、そういう子です。旦那さんもご苦労されると思いますよ」
そこでようやく、「おめでとうございます」と締めくくられました。
腕時計を見ると、挨拶が始まってから5分近く経っていました。
拍手のあと、近くから聞こえた言葉
男性が席へ戻ると、司会は「ありがとうございました」と受け取り、予定どおり次の進行へ移りました。
会場にも少しずつ食事の音が戻ってきます。
私はなんとなく新婦の職場のテーブルへ目を向けました。
すると、同じくらいの年代の女性が隣の人に小さな声で話しているのが聞こえました。
「資料の場所、いつも一番よく分かってるの、本人なのにね」
隣の人も苦笑しながらうなずいていました。
少しして、新婦がお色直しのため席を立つと、その女性たちは通路の近くまで寄り、「今日きれいだね」「また写真撮ろうね」と笑顔で声をかけていました。
新婦もそこで初めて肩の力が抜けたように笑っていました。
先ほどの男性の言葉が、職場の全員の評価というわけではなかったのでしょう。
披露宴の祝辞には、普段なら笑って流せるような昔話でも、聞く人や場所によっては違って響くものがあります。
晴れの日だからこそ、相手を笑いの材料にするのではなく、その人が喜べる言葉を選ぶことの大切さを感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














