「え、食べたの?」スーパーの惣菜をその場で食べた男の子。だが、店員の行動で状況が一変
惣菜売り場で聞こえた、男の子の声
その日は夕飯の支度が面倒で、スーパーの惣菜で済ませるつもりでした。買い物かごを持って揚げ物のケースを見ていると、後ろから小さな男の子が走ってきました。
男の子はコロッケの前で立ち止まり、少し離れたところにいる母親を振り返りました。母親はカートのそばで、携帯の画面を見ています。
「お母さん、これ食べていい?」
返事はありません。男の子はもう一度呼びましたが、母親は一度顔を上げただけで、また携帯に目を戻しました。
すると男の子はコロッケを一つ取り、その場で食べ始めました。
私は驚きましたが、声をかける間もなく親子は売り場を離れていきました。母親は、男の子がコロッケを食べたことに気づいていないように見えました。
その後、私も買い物を続け、店内を一周して再び惣菜売り場の近くを通りました。すると、先ほどの親子が今度は天ぷらのケースの前にいました。
「かぼちゃがいい」
男の子はそう言うと、かぼちゃの天ぷらを一つ取って口にしました。
今度は、近くで商品を補充していた店員もその様子に気づきました。
店員は男の子を見たあと、少し離れた母親にも目を向けましたが、その場で大きな声を出すことはありませんでした。
レジで初めて分かった、もう一つの惣菜
親子がレジへ向かうと、店員もあとからそちらへ歩いていきました。
母親がかごの商品を会計している途中、店員が静かに声をかけました。
「お客様、先ほどお子さんが召し上がった天ぷらも、お会計をお願いします」
母親は驚いたように男の子を見ました。
「え、食べたの?」
男の子は小さくうなずきました。そして少し間を置いて、もう一言続けました。
「コロッケも食べた」
「コロッケも?」
母親の表情が変わりました。
「すみません。見ていませんでした」
店員は男の子にどのコロッケだったかを確認し、売り場の値段を確かめてからレジ係に伝えました。
「二品で、三百二十円になります」
母親は財布から代金を出し、そのまま会計を済ませました。
レジを離れる前、母親は男の子のそばにしゃがみました。
「食べたいときは、勝手に取ったらだめだよ。ちゃんとお母さんに言って」
男の子は黙ってうなずきました。
店員も責めるような口調ではなく、「次からは、お会計してから食べようね」と短く声をかけました。
母親はもう一度店員に頭を下げ、今度は男の子の手を握って出口へ向かいました。
母親が最初から子どもに食べさせるつもりだったわけではなく、携帯に気を取られて行動を見ていなかったのでしょう。それでも、ほんの少し目を離した間に、子どもが売り物を二つも食べてしまうことがあります。
強く責めるのではなく、分かった分をきちんと確認して会計につなげた店員の対応が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














