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2026.09.14(Mon)

「危ないので、お子さんを下ろしてください」座敷の卓に座った1歳くらいの子供。店員が静かに繰り返した言葉

「危ないので、お子さんを下ろしてください」座敷の卓に座った1歳くらいの子供。店員が静かに繰り返した言葉

座敷の卓の真ん中に、小さな背中があった

日曜の昼下がり、2歳の息子を連れて家族三人でうどんの店に入った。

座敷はすでに埋まっていて、私たちは通路ぎわのテーブル席に案内された。待合の椅子にも人が並び、店内は家族連れでにぎわっていた。

少しして、通路をはさんだ座敷に、祖父母らしい二人と母親らしい女性、それに小さな子どもが二人上がった。上の子は幼稚園くらいで、下の子は1歳くらいに見えた。

料理を待っているうちに、下の子がじっとしていられなくなった。

座布団から立ち上がって卓のまわりを歩き、今度は座敷の出入口へ向かおうとする。

「ほら、こっちおいで。もうすぐごはん来るから」

年配の女性が呼び戻しても、子どもはすぐにまた立ち上がった。

「もう、しょうがないなあ」

女性は少し困ったように笑って、その子を抱き上げた。

膝に乗せるのだろうと思った次の瞬間、子どもは座卓の真ん中に、こちらへ背中を向けて座っていた。

息子が箸置きを触っていた手を止めた。

「ママ、あれ」

「うん、見えてるよ。指さすのはやめようね」

息子はもう一度座卓のほうを見て、小さな声で言った。

「テーブル、だめ?」

「危ないからね」

そう答えながら、私も少し落ち着かない気持ちになった。

三度目で、ようやく話が通じた

そこへ、お茶のポットを持った店員が通りかかった。

座卓の上にいる子どもに気づくと足を止め、座敷のほうへ声をかけた。

「すみません。危ないので、お子さんを下ろしてください」

ただ、店内はかなりにぎやかだった。年配の女性は上の子のおしぼりを開いていて、気づいていない様子だった。

店員は少し近づいて、もう一度声をかけた。

「すみません、お子さん、危ないので下ろしてください」

今度は女性が顔を上げた。

「え?」

店員は座卓の上を示しながら、もう一度ゆっくり伝えた。

「お子さんです。危ないので、卓から下ろしてください」

そこで女性も意味が分かったようだった。

「あ、すみません。じっとしてくれなくて…」

困ったように子どもへ手を伸ばす。

店員は責めるような口調ではなく、

「お子さん用の椅子があります。すぐ持ってきますね」

と言って、その場を離れた。

ほどなくして、店員は子ども用の椅子を抱えて戻ってきた。

「こちら、使ってください」

「すみません。ありがとうございます」

女性は子どもの脇に手を入れて卓から下ろし、そのまま椅子に座らせた。

間もなく、熱い丼が次々と運ばれてきた。少し前まで子どもが座っていた場所にも、湯気の立つ器が置かれた。

息子もそれを見ていた。

「あついね」

「うん。だから危なかったんだよ」

息子は分かったような、分からないような顔でうなずいた。

食事を終えて店を出ると、夫が駐車場へ向かいながら口を開いた。

「さっきの子、あそこにいたら危なかったな」

「うん。店員さん、何回も声かけてたね」

「最後まで落ち着いてたな」

すると夫に抱かれていた息子が、両手を少し広げた。

「ぼく、おいす」

夫と顔を見合わせて、思わず笑った。

「うん。椅子に座ろうね」


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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