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2026.09.10(Thu)

「ちょっと音、大きくない?」新幹線の指定席で15分動画を流した男性。だが、乗務員に注意された結果

「ちょっと音、大きくない?」新幹線の指定席で15分動画を流した男性。だが、乗務員に注意された結果

通路をはさんだ席から聞こえた音

親戚の法事に向かうため、朝いちばんの新幹線の指定席に座っていました。持参したお茶を開け、ようやくひと息ついたところでした。

しばらくして、通路をはさんだ席に五十代くらいの男性が座りました。男性は席に着くなり、スマートフォンをテーブルに立てかけて動画を流し始めます。

その音が、驚くほど大きかったのです。

動画の中の笑い声や話し声が、走行音に負けずこちらまで聞こえてきます。私は文庫本を開いていましたが、どうしても内容が頭に入ってきません。

「…ねえ、あれ、結構聞こえるよね」

「うん。ちょっと大きいね」

後ろの席から、若い人たちが小声で話すのも聞こえてきました。

男性は周囲の様子を気にすることもなく、ときどき画面を操作しながら動画を見続けています。

誰かが声をかけるのだろうかと思いましたが、近くの乗客もちらりと男性を見るだけでした。直接注意して言い合いになるのも嫌なのだろうと思います。私も同じでした。

そうして15分ほど経ったころ、男性はようやく動画を止めました。

静かになった、と安心したのも束の間でした。

今度はそのまま電話をかけ始めたのです。

「もしもし、俺だけど」

「今?新幹線。大丈夫、大丈夫」

「いや、それよりさ、ちょっと聞いてくれよ」

今度は男性自身の大きな声が、車内に響き始めました。

乗務員が席の横で足を止めた

私は文庫本を閉じかけた、そのときでした。

車両の扉が開き、巡回してきた乗務員が通路を歩いてきました。男性の声は離れたところからでも聞こえていたのか、その席の横まで来ると足を止めます。

「恐れ入ります。お電話はデッキでお願いいたします」

男性はスマートフォンを耳に当てたまま、乗務員を見上げました。

「……ああ、分かったよ」

そう言って通話を切ると、乗務員はさらに穏やかな声で続けました。

「それと、動画をご覧になる際も、周囲に音が聞こえないようお願いいたします」

男性は一瞬黙ったあと、スマートフォンをテーブルの上に置きました。

「はいはい」

少し不満そうな声でしたが、それ以上言い返すことはありませんでした。

乗務員が一礼して通路を戻っていくと、車内にはいつもの走行音だけが残りました。

男性は腕を組み、窓の外を向いたまま動きません。その横顔は、どこか納得していないようにも見えました。

その後、男性が動画の音を出したり、席で電話をしたりすることはありませんでした。

私は冷めかけたお茶をもう一口飲み、ようやく文庫本の続きを読み始めました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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