tend Editorial Team

2026.09.10(Thu)

「うちのノブにかかっていたんですけど」名字を訂正しても間違える隣人。その後、通学路でも見かけるようになった

「うちのノブにかかっていたんですけど」名字を訂正しても間違える隣人。その後、通学路でも見かけるようになった

ノブにかかった紙袋には、知らない名字が書かれていた

隣の部屋に四十代くらいの女性が越してきて、ひと月ほど経ったころのことです。

ある朝、中学校へ行こうと玄関を開けると、ドアノブに小さな紙袋がかかっていました。中には個包装のクッキーと、二つ折りのカードが入っています。

「お母さん、これ何?」

母がカードを開き、少し困った顔をしました。

「……これ、うちじゃないよね」

カードには丸い字で「◯◯さんへ」と書かれていました。もちろん、うちの名字ではありません。

母は紙袋を持って隣のチャイムを押しました。すると、すぐに女性が出てきました。

「すみません。これ、うちのノブにかかっていたんですけど……」

「ああ、お菓子。かけておきました」

「でも、カードに◯◯さんって書いてあって。うちは◯◯ではないんです」

女性は一瞬きょとんとしたあと、首をかしげました。

「え?◯◯さんのお宅でしょう?」

「違いますよ」

母がもう一度そう伝えても、女性は紙袋を受け取ろうとしませんでした。

「そうなの?でも、せっかくだから食べてください」

結局、母は紙袋を持ったまま家へ戻りました。クッキーは誰も開けませんでした。

学校へ向かう道で、何度も見かけるようになった

それから数日後の朝、学校へ向かって歩いていると、後ろに人の気配を感じました。

振り返ると、少し離れたところを隣の女性が歩いています。

私は会釈をしました。

「おはようございます」

女性は何も言わず、こちらを見ただけでした。

たまたま行く方向が同じなのだと思いました。ところが別の日にも、アパートを出て少ししたところで女性を見かけました。

友達と一緒に歩いている朝にも、少し後ろに姿がありました。

「あの人、知ってる人?」

友達に聞かれ、私は小さな声で答えました。

「隣の人。うちの名字をずっと間違えてる人」

女性に声をかけられたり、走って追いかけられたりしたことはありません。ただ、何度か同じようなことが続くと、偶然だと思い切れなくなっていきました。

私は母に話し、少し遠回りになる別の道を使うようになりました。

それでも、アパートを出る時間帯に女性を見かける日がありました。

母が残し始めた、小さな記録

「今日もいた?」

帰宅すると、母が聞くようになりました。

「うん。今日はアパートの前にいた」

母はそれ以上騒がず、見かけた日と時間だけをカレンダーの裏に書き留めていきました。

何日か記録がたまったところで、母は管理会社に「隣の住人とのことで少し不安に感じている」と相談しました。

それですぐ何かが変わったわけではありません。

ところが、それからしばらく経ったある日、学校から帰ると、隣の部屋の前に段ボール箱が積まれていました。

女性が引っ越す理由は、私たちには分かりませんでした。

荷物が運び出されるなか、女性は廊下にいた母を見つけると、小さく頭を下げました。

「いろいろお世話になりました」

母も短く会釈しました。

すると女性は、帰り際にこう言ったのです。

「◯◯さんにも、よろしく伝えてくださいね」

母は返事をしませんでした。

最後まで、女性が誰を「◯◯さん」だと思っていたのかは分かりません。

ただ翌朝、玄関を開けたとき、ノブには何もかかっていませんでした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.25(Sun)

「そんなの、気にするほうが悪いのよ」満員電車で香水を吹きかけ続けた女性。だが、年配の男性の一言から車内に起きた変化
tend Editorial Team

NEW 2026.10.25(Sun)

「混んでる時間に持ち込むなよ」ベビーカーの母親を怒鳴った男性。だが、周囲の乗客の行動に口を閉じた瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.10.25(Sun)

「ここは俺の席だ!」4人掛けの座席を独占する男性。誰もが避けるなか、若い乗客が見せた対応
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.07.31(Fri)

「後から来たくせに」理不尽な苦情を重ねた近隣住民。だが、管理会社が測った数値に絶句
tend Editorial Team

2026.05.01(Fri)

大竹しのぶ、軽井沢の別荘に意外な「侵入者」警備会社からの報告に驚き
tend Editorial Team

2025.11.18(Tue)

「センスに脱帽」「なんて素敵な言い回し」と称賛の声が相次いだ、ジョージ・グラス駐日米国大使の、中国総領事らへの痛烈な皮肉...
tend Editorial Team