「この子、待つのが苦手で」と先に滑らせた母親。だが、小学生の一言で状況が一変
5人の列には並ばず、階段へ向かった
去年の夏、日が傾きはじめたころ、私は息子と近所の大きな公園へ出かけました。
滑り台の前には子どもが並んでいて、私たちも最後尾につきました。
係の人がいる公園ではありませんが、子どもたちは自然に順番を守って遊んでいました。
そこへ、4歳くらいの子を連れた母親がやってきました。
母親は列を見て少しためらったあと、「この子、待つのが苦手で…一回だけ先に行かせてもらってもいいですか」と周囲に声をかけました。
ただ、誰かが返事をするより先に、子どもは滑り台の階段へ走っていってしまいました。
近くにいた小学生くらいの男の子が、その背中に声をかけました。
「ここ、みんな並んでるよ」
けれど4歳の子はそのまま上まで行き、滑り降りてきました。
母親は困ったように笑いながら、「ごめんなさい。一回だけだから」と言っていました。
ところが滑り終えた子は、そのままもう一度階段へ向かおうとしました。
列にいた子どもたちも、今度はどうすればいいのか分からない様子で足を止めています。
3度目の一言で、最後尾へ向かった
さっきの男の子が、もう一度声をかけました。
「順番だよ。後ろに並ぼう」
4歳の子は少し立ち止まりましたが、それでも階段のほうを見ています。
母親もベンチから立ち上がり、「ほら、一回って言ったでしょう」と呼びましたが、子どもはなかなか戻ろうとしません。
すると男の子は怒るでもなく、列のいちばん後ろを指さしました。
「あそこが最後だよ。そこに並んだら、また滑れるよ」
それが3度目の声かけでした。
4歳の子は男の子が指した先を見て、ようやく階段から離れました。
そして私たち親子の後ろまで歩いてくると、少し照れたような顔で立ちました。
母親もすぐに追いついてきました。
「すみません。待つのが苦手だからって、先に行かせちゃだめですよね」
私は「今、ちゃんと並べていますよ」とだけ返しました。
母親は小学生の男の子にも「教えてくれてありがとう」と頭を下げ、そのあとは子どものそばで一緒に順番を待っていました。
列がまた少しずつ進み始め、やがて4歳の子の番が来ました。
滑り終えた子は、今度は迷わず列の最後へ走ってきました。
「もういっかい!」
母親が「じゃあ、また後ろからね」と言うと、子どもは素直にうなずきました。
大人が強く注意するよりも、同じ遊具で遊んでいた子の「順番だよ」という言葉のほうが、すっと届くこともあるのだと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














