「勘違いだったら気まずいし」混雑したスーパーで列の途中に入った女性。だが、誰も言えない中で男性がかけた一声
5人の後ろに並んだはずが
仕事帰りにスーパーへ寄り、夕飯の材料を入れたかごを持ってレジへ向かった。夕方で店内は混んでおり、私の前には5人が並んでいた。
前から3番目には、白髪まじりの60代くらいの男性が立っていた。
しばらくすると、総菜売り場のほうから40代くらいの女性がかごを提げてやってきた。
列の横を通り過ぎるのかと思ったが、女性は前から3番目の男性のすぐ後ろで立ち止まり、そのまま列に入った。
もともとそこに並んでいた学生らしい女の子が、驚いたように半歩下がる。男性も人の動きに気づいたのか、ちらりと後ろを振り返った。
私のすぐ後ろにいた男性が、小声で話しかけてきた。
「あれ…今、途中に入りましたよね?」
「ですよね。私もそう見えました」
周囲も気づいているようだったが、誰も声をかけない。
私も迷っていた。
(言ったほうがいいのかな。でも、勘違いだったら気まずいし……)
そう思っているうちに、列が少しずつ前へ進んでいった。
男性が振り向いて確かめると
すると、女性の前にいた男性が振り返った。
「すみません。列の最後はあちらですよ」
責めるような口調ではなく、確認するような穏やかな声だった。
女性は少し驚いた顔をした。
「えっ、ここが最後尾だと思ってました」
男性は列の後ろへ視線を向けた。
「ああ、分かりにくかったですよね。でも、あちらまで続いてるみたいです」
女性も後ろを確認したが、人が並んでいる位置がすぐには分からなかったのか、その場で少し戸惑っていた。
その様子に気づいたレジの店員さんが、会計を続けながら声をかけた。
「お客様、最後尾はこちらの列の後ろになります」
そう言って、店員さんが手で方向を示した。
女性はようやく位置が分かったようで、少し気まずそうに頭を下げた。
「すみません、分かりませんでした」
そして列から離れ、最後尾へ向かっていった。
私の後ろにいた男性が、小さく息を吐いた。
「よかった。自分から言おうか迷ってたんですよ」
私も苦笑した。
「私もです。違ってたらどうしようって思ってました」
少しして、声をかけた男性が会計を終え、私たちの横を通った。
私は思わず小さく頭を下げた。
「さっき、ありがとうございました」
男性は少し照れたように笑った。
「いや、余計なことだったかなとも思ったんですけどね」
「いえ。私も気になってたので、助かりました」
「それならよかったです」
男性はそう言って出口へ向かった。
列の後ろを見ると、先ほどの女性も今度は自分の順番を待っていた。
横入りに見えても、本人は列の位置を勘違いしていることもあります。強い言葉で責めるのではなく、まず穏やかに確認した男性の声のかけ方が、私には印象に残りました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














