「置く場所くらい考えろよ!」ラーメン屋で店員を怒鳴る父親。しかし、隣に座る息子の一言で態度が一変
テーブルいっぱいに広がったメニュー
大学生のころ、私は家族連れでにぎわうラーメン屋でアルバイトをしていました。
ある夜、少し強面の父親が、母親と小学生くらいの子ども2人を連れて来店しました。
テーブル席には父親と男の子が並んで座り、向かいには母親と妹が座りました。
父親は何を注文するか迷っていたのか、メニューを次々と開いてはテーブルに広げていきました。
注文が終わってもメニューはそのまま。テーブルの上は、何冊ものメニューでいっぱいになっていました。
しばらくしてラーメンができあがり、私がお盆を持って席へ向かうと、父親が不機嫌そうに言いました。
「やっと来たか。結構待ったぞ」
「お待たせしてすみません」
頭を下げてどんぶりを置こうとしたのですが、ここで困ってしまいました。
広げられたメニューが重なり合い、どんぶりを置ける場所がほとんどなかったのです。
父親は腕を組んだまま、こちらを見ています。
本当ならメニューを片付けてもらうようお願いすればよかったのですが、私は焦ってしまい、手前のメニューの上にどんぶりを置いてしまいました。
すると、父親が突然声を荒らげました。
「おい!そこメニューだろ!」
「あっ、申し訳ありません」
「置く場所くらい考えろよ!」
近くの席のお客さんも、驚いてこちらを振り向きました。
確かに、メニューの上にどんぶりを置いたのは私の判断ミスです。ただ、どこにも置く場所がなかったのも事実でした。
私はすぐにどんぶりをお盆に戻し、もう一度頭を下げました。
父親を黙らせた男の子の一言
そのとき、父親の隣に座っていた男の子が口を開きました。
「でもパパ、メニューいっぱい出したじゃん」
父親は男の子のほうを向きました。
「え?」
男の子はテーブルを指さして続けます。
「だから置くとこないんだよ」
父親は何も言い返さず、テーブルに目を落としました。
すると、向かいに座っていた母親も声をかけました。
「そうよ。先にメニュー片付けないと」
父親は少し気まずそうな顔をして、黙ったままメニューを閉じ始めました。
一冊、また一冊と重ねていくうちに、テーブルの上に十分なスペースができました。
私は空いた場所にどんぶりを置き、残りのラーメンも並べました。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
すると、男の子が私を見上げて言いました。
「ほら、これなら全部置けるね」
「そうだね。ありがとう」
思わず笑顔で答えると、男の子もにっこり笑いました。
父親はそれ以上何も言わず、ラーメンを食べ始めました。先ほどまでの勢いが嘘のように静かです。
厨房に戻った私は、ほっとした拍子に、思わず小さく笑ってしまいました。
私も最初からメニューを片付けてもらうようお願いすべきでした。それでも、あの場の気まずい空気を変えてくれたのは、男の子の何気ない一言でした。
大人同士では言いにくいことも、子どもは驚くほど素直に口にするものなのだと感じた出来事です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














