「卵の上にお菓子?」レジで突然怒り出した客。だが、謝り続ける店員の前で、年配客が笑いながら放ったひと言
卵の上に置いた小さなお菓子が原因で
私がスーパーでレジ打ちのパートをしていたころの出来事です。
夕方の混雑する時間帯で、レジの前には買い物かごを持ったお客さんがずらりと並んでいました。
私は女性客の商品を、いつものように丁寧にかごへ詰めていました。
重い牛乳や野菜を下に入れ、卵のパックはその上に。そして最後に、手のひらほどの軽いお菓子の小袋を乗せました。
私としては、卵が割れるような重さではないと思っていました。
ところが、会計を終えた女性客がかごを受け取ると、突然手を止めたのです。
「やだ、卵の上にお菓子?」
女性客は小袋を見つめ、大きなため息をつきました。
そして、声を張り上げたのです。
「信じられない。割れてたらどうしてくれるのよ!」
私はすぐに頭を下げました。
「大変失礼いたしました。すぐに入れ替えます」
そう言って小袋を取り出そうとすると、女性客はかごを抱え込むようにして、さっと身を引きました。
「謝れば済む話じゃないでしょ」
私がもう一度謝っても、怒りは収まりません。
「責任者を呼びなさい」
大きな声が響き、周囲のお客さんもこちらを見ていました。
怒鳴り声が続くなか、後ろから聞こえたひと言
私は呼び出しボタンを押しましたが、チーフはすぐには来ませんでした。
女性客はレジの前から動かず、私の商品を詰める順番や置き方について、何度も不満を口にしていました。
そのやり取りは10分以上続きました。
後ろには会計を待つお客さんが並んでいます。列の中ほどから小さな舌打ちが聞こえ、私は申し訳なさと緊張でいっぱいでした。
「申し訳ございません……」
何度も頭を下げていると、手のひらには汗がにじんでいました。
そのときです。
女性客のすぐ後ろに並んでいた年配の女性客が、自分の買い物かごを見下ろして、ふふっと笑いました。
「あらやだ、私なんて卵の上に食パンを乗せてきちゃったわ」
そう言いながら、かごを少し持ち上げて見せました。
確かに、卵のパックの上には食パンが乗っています。
「卵って、案外丈夫なのよねえ」
あまりにもあっけらかんとした言い方だったので、列のあちこちから思わず笑い声が漏れました。
すると、先ほどまで怒鳴っていた女性客が振り返りました。
年配の女性客のかごを見つめ、何か言いかけたものの、言葉が出てこない様子です。
顔はみるみる赤くなり、耳まで赤くなっていました。
そんな女性客の様子を気にすることもなく、年配の女性客は私に向かってにこりと笑いました。
「お姉さんの詰め方、いつも上手よ。ありがとうね」
その言葉を聞いて、張り詰めていた気持ちが少しだけやわらぎました。
怒っていた女性客は周囲を見回しましたが、誰も何も言いません。
やがて女性客はかごを抱え直すと、無言でレジを離れ、足早に出口のほうへ向かっていきました。
ちょうど入れ違いに、サービスカウンターからチーフが駆けつけました。
事情を聞いたチーフは、私の肩にそっと手を置いてくれました。
私は小さく息をつき、年配の女性客のかごを引き寄せました。
「お待たせいたしました。いらっしゃいませ」
ようやく、いつもの笑顔で接客することができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














