「次の旅行もまた立て替えといて」12万円を返さない義兄。だが、義実家で私が前回の明細を差し出すと、笑顔が消えた
いつまでも来ない「今度」
夫の兄夫婦と家族旅行に出かけたのは、3年ほど前のことです。
新幹線のチケットも宿も我が家でまとめて手配し、義兄に精算してもらう予定だった旅行代12万円も、いったん私たちが立て替えました。
旅行自体は楽しく終わったのですが、最終日の夕方、帰りの駅の改札前で精算の話になりました。
「兄さん、立て替えた分なんだけど、あとで返してもらえるかな?」
夫がそう切り出すと、義兄は笑いながら答えました。
「ああ、悪い!今、持ち合わせがなくてさ。今度会ったときに払うよ」
そう言って片手を上げると、義兄は隣にいた妻と話し始めてしまいました。
その場では夫もそれ以上言えず、私たちは帰ることに。
ところが、その「今度」はいつまでたっても来ませんでした。
夫が催促したときも、「今月ちょっと厳しくてさ。来月には払うから」と返されたそうです。
年が明けても、振り込みはありません。
それなのに、義実家で顔を合わせる義兄は、新車や海外旅行の話を楽しそうにしているのです。
その話を聞くたびに、私は複雑な気持ちになりました。
家族だからといって、12万円ものお金をいつまでも待たせていいわけではありません。
それでも、義兄との関係を考えると、なかなか強くは言えませんでした。
私は返済が済むまで明細を捨てられず、旅行の明細を手帳に挟んで持ち歩いていました。
座卓に置いた前回の明細
ある日、義実家の居間で座卓を囲んでいたときのことです。
義兄はいつものように車の話をしていましたが、ふと思い出したように私たちのほうを向きました。
「そうだ、今度の連休、また旅行行こうぜ」
そして、笑いながら続けたのです。
「次の旅行もまた立て替えといて。そっちのほうが段取りうまいしさ。よろしくな!」
私は思わず義兄の顔を見ました。
前回の12万円も返してもらっていないのに、また立て替えてほしいと言うのです。
夫も困った顔でこちらを見ています。
そこで私は手帳を開き、挟んでおいた明細を座卓の上に置きました。
「あの、前回の旅行代なんですけど…」
義兄がこちらを向いたところで、私は明細を指さしました。
「この12万円、まだ返していただいていませんよね。次の旅行の話は、それが済んでからにしませんか?」
すると、義兄の笑顔がぴたりと消えました。
「いや……今その話?」
義兄は気まずそうに目をそらします。
そのとき、座卓の奥に座っていた義父が明細を引き寄せました。
「ちょっと待て。お前、まだ払ってなかったのか?」
義兄は何も答えません。
「車を買ったって話してたよな。弟たちに立て替えてもらった金は、先に返さないとだめだろう」
義父の言葉に、居間が静まり返りました。
義兄は何か言おうとして口を開きましたが、結局何も言わず、顔を赤くしています。
そして、黙ってスマートフォンを取り出すと、その場で12万円を振り込みました。
隣にいた義兄の妻は、私に小さく頭を下げました。義兄からは、それ以上旅行の話は出ませんでした。
義実家を出て夫と並んで歩いていると、夫がぽつりと言いました。
「ありがとう。俺も催促したけど、結局うやむやになってたから……」
「うん。でも、ちゃんと返してもらえてよかったね」
私はそう答えて、手帳を閉じました。
ずっと気になっていた12万円のことが、ようやく片づいたのです。
帰り道は、いつもより少し気持ちが軽くなっていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














