「それはもういらないんですけど」溶けたアイスを戻した母親。だが、店員がレジに持ってきたものを見て唖然
溶けかけたアイスを戻した母親
真夏の昼下がり、暑さに耐えかねた私はコンビニに入りました。
帰り道に食べるアイスを買おうと思ったのです。
冷凍ケースの前には、小学生くらいの男の子がいました。
片手にアイスを握り、もう片方の手を冷凍ケースの中に入れています。
「あー、冷たくて気持ちいい!」
その幸せそうな声に、思わず笑みがこぼれました。
ただ、男の子はアイスを持ったまま、なかなか動きません。暑い日だったので、溶けてしまわないか少し気になりました。
そこへ、母親がやってきました。
「アイス決まった?」
「うん、これ!」
男の子が差し出したアイスを受け取った母親は、袋の上から触って顔をしかめました。
「ちょっと、これ溶けてるやん!」
確かに、袋の中身はくにゃりと曲がっています。
母親は少し考えるようなそぶりを見せたあと、そのアイスを冷凍ケースの奥へ押し込みました。
「こっちにしよ。溶けたやつは戻しといたらええねん」
そう言って、新しいアイスを取り出したのです。
私は思わず母親のほうを見ました。
一度溶けてしまったアイスを、そのまま戻していいのでしょうか。
母親は気にする様子もなく、男の子とレジへ向かいました。
近くで品出しをしていた若い女性店員も、その様子を見ていたようでした。
店員が持ってきたもう一つのアイス
私もアイスを選び、母親の後ろに並びました。
母親は新しいアイスをレジ台に置き、店員を呼びました。
「すみませーん、お願いします」
すると、先ほど品出しをしていた店員がやってきました。
その手には、母親が冷凍ケースに戻した、溶けかけのアイスがありました。
「すみません、こちらなんですが…」
店員はアイスをレジ台に置き、母親に確認しました。
「先ほど、お客様が戻された商品ですよね?」
「え?ああ、はい…」
母親は少し驚いた様子で答えました。
「こちら、かなり溶けてしまっていて、もう売り場には戻せない状態なんです」
「あ、そうなんですか……」
「申し訳ありませんが、こちらもお会計をお願いできますか?」
母親は一瞬、言葉に詰まったようでした。
「でも、それはもういらないんですけど……」
「そうですよね。ただ、ほかのお客様にはお売りできない状態なので……」
店員は困ったように答えましたが、声を荒らげることはありませんでした。
母親はレジ台の二つのアイスを見つめ、少し間を置いてから答えました。
「……分かりました。二つともお願いします」
そのとき、隣にいた男の子がうれしそうに声を上げました。
「えっ、アイス、ふたつも食べていいの?」
母親は顔を赤くして、男の子をちらりと見ました。
「……とりあえず、持ってて」
そう言って、二つ分の代金を支払いました。
後ろに並んでいた私たちも、何となく黙ってそのやり取りを見守っていました。
「ありがとうございました」
店員が頭を下げると、男の子は二つのアイスをうれしそうに抱え、早足で店を出る母親の後を追いかけていきました。
私は男の子の無邪気な反応を思い出し、思わず小さく笑ってしまいました。
それにしても、店員は最後まで落ち着いた口調でした。相手を責め立てることなく、必要なことをきちんと伝える姿が印象に残りました。
私は自分のアイスをレジ台に置き、会計を済ませました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














