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2026.10.17(Sat)

「絶対に返すから!」妹に貸した15万円。毎年届く手紙の残額が10年間変わらなかった末に、届いた11通目に笑った理由

「絶対に返すから!」妹に貸した15万円。毎年届く手紙の残額が10年間変わらなかった末に、届いた11通目に笑った理由

夢を追う妹に貸した15万円

妹が大学を卒業するとき、「就職せずに夢を追いたい」と言い出しました。

向かうのは、実家からも私の家からも遠い大きな街。

両親も遠方に住んでいたため、部屋探しには私が付き添いました。

選んだのは、古いアパートの一室です。昼の光が入る、家具も何もない部屋。妹は段ボール箱をひとつ抱え、嬉しそうに室内を見回していました。

「狭いけど、ここなら頑張れそう!」

「でも、家具もないよ。お金は大丈夫なの?」

「うん!アルバイトでちゃんとためてきたし」

ところが、引っ越しにかかるお金を計算すると、妹の貯金だけでは足りないことが分かりました。

さっきまで嬉しそうだった妹は、すっかり肩を落としています。

私自身、生活に余裕があったわけではありません。それでも、妹の夢を応援したい気持ちが勝ちました。

「……足りない分、私が貸そうか?」

「えっ、本当に?ごめんね。絶対に返すから!」

こうして私は、妹に15万円を貸しました。

毎年届く手紙と、減らない残額

しばらくして、妹から一通の手紙が届きました。

封筒には千円札が1枚。便せんには近況と、借りたお金をこれから返していくという言葉が書かれていました。

そして最後に、こんな一行がありました。

「残り149,000円」

最初の返済です。少額でも約束を覚えていてくれたことが嬉しく、その手紙は大切にしまいました。

ところが、翌年届いた手紙には、お札が入っていません。

「今年もがんばっています!」という明るい近況報告の最後には、また同じ数字。

「残り149,000円」

その翌年も、さらに翌年も同じでした。

「いや、少しは返してよ…」

思わず独り言が出ます。妹のことは応援していますが、私だってお金に余裕があるわけではありません。

それでも妹は、毎年欠かさず手紙を送ってきます。近況は楽しそうに書かれているのに、返済額だけは一向に変わりません。

いつしか私は、手紙を読むたびにため息をつき、引き出しにしまうようになりました。

10年分の手紙を並べて気づいたこと

妹が引っ越してから10年になるころ、私は引き出しを整理していました。

そこから出てきたのは、妹から届いた10通の手紙です。

懐かしくなって、居間のテーブルに古い順から並べてみました。

そして、思わず笑ってしまいました。

どの手紙の最後にも、同じ数字がきっちり書かれているのです。

「ちょっと……全部149,000円じゃない!」

毎年見ていたので、返済額が変わっていないことは知っていました。それでも10通を並べると、さすがにおかしくなってきます。

たった千円しか返していないのに、残りの金額だけは律儀に書き続ける妹。

お金のことでは散々もやもやしたはずなのに、楽しそうな近況報告と変わらない数字を交互に眺めていると、つい笑ってしまうのです。

もちろん、返さなくていいと思ったわけではありません。ただ、妹らしい妙な律儀さに、怒る気持ちも少し薄れていました。

それから数日後、11通目の手紙が届きました。

封筒を開けると、久しぶりに千円札が1枚入っています。

便せんには、こう書かれていました。

「ようやく少し仕事が入るようになりました。残り148,000円」

「あっ、減ってる!」

思わず声に出して笑いました。

10年間ほとんど動かなかった数字が、ようやく千円だけ減ったのです。

完済までは、まだまだ遠そうです。

それでも私は、その11通目を10年分の手紙の隣に、そっと並べました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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