「こっちは仕事してるんで」ホテルの朝食会場で席を空けない男性。だが、女性スタッフの案内で状況が一変
朝食を終えても席を立たない男性
旅行先のホテルで迎えた朝のことです。
そのホテルでは、朝食会場の混雑を避けるため、前の日に利用時間を予約する仕組みになっていました。
予約した時間に会場へ向かうと、入口では数組の客が案内を待っていました。
私も列の最後尾に並び、席が空くのを待つことにしました。
列が少し進み、入口の近くまで来たときです。窓ぎわのテーブル席に、気になる男性がいました。
中年くらいの男性がひとり、食べ終えた皿を脇に寄せ、ノートパソコンを広げていたのです。
テーブルには書類まで並んでいて、すっかり仕事に集中している様子でした。
そのとき、列の前のほうにいた小さな男の子が、母親の手を引っぱりました。
「ママ、まだ?おなかすいた……」
「もうちょっとだからね。待っててね」
母親は困ったように笑いながら、男の子をなだめています。
私も早く朝食を食べたいと思っていましたが、男性は画面を見つめたまま、キーボードをたたき続けていました。
すると、隣のテーブルに座っていた年配の男性が、声をかけました。
「あの、すみません。入口で待っている方もいるみたいですよ」
その声に、男性は一瞬だけ顔を上げました。
「こっちは仕事してるんで。気にしないでもらえます?」
「いや、でも……」
年配の男性は困ったように首を振り、それ以上は何も言わずに席を立ちました。
仕事が忙しいのかもしれません。それでも、朝食会場で食事を終えたあとも席を使い続け、そのうえ注意した人にまで冷たく返す姿には、驚いてしまいました。
仕事を続ける男性に、スタッフが伝えた一言
そのとき、制服姿の若い女性スタッフが男性のテーブルへ向かいました。
男性の横に立つと、穏やかな声で話しかけます。
「お客様、恐れ入ります。こちらのご利用時間は、そろそろ終了となります。次のお時間のお客様もお待ちですので……」
男性は眉をひそめ、ようやくパソコンから顔を上げました。
「だから、仕事中なんですけど」
少し苛立ったような口調でした。
しかし、スタッフは落ち着いた様子で続けました。
「お仕事でしたらラウンジに電源のお席がございます」
その言葉に、男性の手がぴたりと止まりました。
しばらくスタッフを見つめていましたが、やがて何も言わずにノートパソコンを閉じたのです。
そして、広げていた書類をまとめて鞄にしまうと、誰とも目を合わせずに席を立ち、足早に会場を出ていきました。
スタッフはすぐに空いたテーブルを片づけ、入口で待っていた客を案内し始めました。
「大変お待たせいたしました。どうぞこちらへ」
先ほどお腹をすかせていた男の子も、うれしそうに母親と席へ向かっていきました。
私もようやく席に着くことができ、ほっとしました。
男性を責めたり、強い言葉で注意したりするのではなく、仕事を続けられる別の場所を案内したスタッフ。
その落ち着いた対応が、朝食の時間が終わったあとも印象に残っていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














