「菓子は見てない。今すぐ買い直せ」と手ぶら呼ばわりで姪を責める伯父。こたつ布団をめくると声が裏返った
祖母の誕生日、消えた菓子折り
伯父は湯のみを手に、菓子は見ていないと言い張りました
晩秋の日曜、祖母の誕生日を祝おうと、親戚が祖母の家の居間に集まる約束でした。
ほかの親戚は、駅へ叔母を迎えに車で出ていて、居間には伯父ひとりでした。
私は手みやげの菓子折りを、先に来ていた伯父の前、こたつの天板の真ん中に置いてから、台所で煮物を作る祖母の手伝いに向かいました。
持ってきたのは祖母の好きな老舗の菓子で、居間に入ったときに伯父にもそのことを伝えていました。
祖母は鍋の前で背を向けたまま、換気扇の音の中で黙々と手を動かしています。
しばらくして居間へ戻ると、天板には湯のみが二つあるだけで、置いたはずの菓子折りがありません。
『伯父さん、ここに置いた菓子折りを知りませんか』と尋ねると、伯父は湯のみを口に運んだまま、顔も上げずに言いました。
『お前は手ぶらで来た。誰かと間違えてるんじゃないか』
「菓子は見てない。今すぐ買い直せ。」
祖母は台所で背を向け、伯父は居間に一人だと言い切りました
私は言い返せませんでした。菓子折りを置く私を見ていたのは、居間にいた伯父だけです。
祖母は台所の奥で背を向けていて、私が箱を持ってきたことさえ見ていません。
伯父は親戚の中でも発言力が強く、祖母の前でも伯父に強く言える人はいません。
祝いの席で言い争い、祖母の誕生日を台なしにしたくないという思いもありました。
黙った私に、伯父は向かいの座布団を顎で指して言います。
『座れ。立ったまま騒ぐな。この居間には、誰も入ってこなかったんだ』
「ずっと俺一人だ。一歩も動いてない。」
言い返せない私が、座ったとき
足に当たった物を確かめようと、こたつの布団を上げました
私は言われたとおり、伯父の向かいの座布団に腰を下ろしました。足をこたつの中へ伸ばすと、足先が硬くて大きな物の角に触れました。
こたつの中ほど、伯父の座布団寄りです。
私は少し迷ってから、伯父に声をかけました。
「何かが当たります。布団を上げても?」
伯父は返事をしません。私はこたつ布団の端を両手で持ち上げ、薄暗い中をのぞきました。
すると、伯父の座布団寄りに、私が持ってきた灰色の風呂敷包みの菓子折りが、結び目も崩れないまま横たわっていました。
伯父は包みを私のほうへ押し出し、手を引っ込めました
伯父は一瞬だけ息をのみ、すぐに声を荒らげました。
「おふくろが入れたんだ!」
「誰もいない居間で、箱は歩きますか。」
この居間には誰も入っていないと言い切ったのは、伯父自身です。私が台所にいる間、こたつの中に箱を隠せたのは伯父だけでした。
伯父は口を開けたまま言葉を探していました。私が黙って見つめていると、観念したように裏返った声で話し始めました。『老舗の菓子だと分かって、惜しくなった。先に一人で食うつもりで、足元に隠した。買い直せと言えば、お前が黙ると思った』。
伯父は眉を寄せ、口の端を引きつらせたまま、足元の包みを手で私のほうへ押し出して、すぐに手を引っ込めました。
台所の奥では、祖母が煮物を作る音だけが変わらず続いています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














