「うちはちゃんと防音していますから」深夜のドラム音を訴えても聞き入れない上階の父親。だが、管理組合の総会で聞いた理事長の言葉とは
毎晩、上の階から聞こえる音
僕が住んでいるのは、集合住宅の3階です。真上の部屋には夫婦と20歳前後の子ども2人が暮らしていて、子どもたちは音楽をしているようでした。
困っていたのは、毎晩のように聞こえてくるドラムの音です。
夜遅くになると、天井のほうから低い音が響き始めます。建物の外ではほとんど聞こえないのに、僕の部屋では音が気になって仕方ありません。
深夜まで続く日もあり、なかなか寝つけず、寝不足が続くようになりました。
我慢できなくなった僕は、管理会社に電話をしました。
「夜遅くに上の階からドラムの音が聞こえるんです。何とかしていただけませんか」
「分かりました。こちらからお伝えしておきます」
しかし、その後も状況は変わりませんでした。
何度か問い合わせるうちに、管理会社の担当者から上の階の父親の返答を聞きました。
「防音はしているとおっしゃっているんですが…」
防音しているつもりなのかもしれませんが、僕の部屋には音が響いています。
後から引っ越してきたこともあり、直接訪ねて話すのはためらわれました。結局、何も変わらないまま3か月が過ぎてしまったのです。
総会で理事長が伝えたこと
このままでは困ると思い、僕は管理組合の理事長に相談しました。
理事長は事情を聞いたうえで、次の総会で夜間の騒音について取り上げると約束してくれました。
総会当日、集会室には住人たちが集まっていました。
理事長が夜間の楽器演奏について話し始めると、上の階の父親が口を開きました。
「その件なら、管理会社にも説明しましたよ。うちはちゃんと防音していますから」
僕は思い切って、自分の状況を伝えました。
「でも、僕の部屋には夜中まで音が響いているんです。眠れない日もあって…」
すると、父親は少し声を強めました。
「外にはほとんど聞こえていないはずですよ。防音対策はしていますから」
そこで理事長が、落ち着いた口調で話しました。
「外に漏れなくても、真下の部屋には響いています。実際に、眠れないという相談が来ているんです」
父親は何か言おうとしましたが、理事長は続けて手元の管理規約を示しました。
「それに、こちらの規約では夜間の楽器演奏は禁止されています。防音しているかどうかとは別の話なんです」
そして、父親に向かって伝えました。
「まずは夜間の演奏をやめていただけませんか。次の総会までに改善がなければ、組合として対応を検討することになります」
父親は規約に目を落とし、しばらく黙っていました。先ほどまでのように反論することはありませんでした。
僕も、それ以上は何も言いませんでした。困っていることをきちんと伝えられただけでも、少しほっとしていました。
それから次の週になると、夜のドラムの音は聞こえなくなりました。
久しぶりに朝までぐっすり眠れたときは、本当に安心しました。
ある朝、マンションの入り口で理事長に会ったので、お礼を伝えました。
「この間はありがとうございました。おかげで夜も静かになりました」
「それはよかったです。皆さんに守っていただく規約ですからね」
そのとき、郵便受けの前にいた上の階の父親が、こちらに気づきました。
一瞬目が合いましたが、父親はすぐに視線をそらし、何も言わずにエレベーターへ乗っていきました。
顔を合わせると少し気まずさはあります。それでも、今は夜に落ち着いて眠れるようになりました。
ひとりで我慢し続けず、理事長に相談してよかったと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














