「車の修理のときは、お兄さんに助けていただいたそうで」弟の婚約者から感謝された私。だが、返済されていない10万円の話を切り出した結果
何度催促しても返ってこない10万円
弟に10万円を貸したのは、3年ほど前のことです。急な車の修理代が払えないと頼まれ、仲のいい兄弟だったこともあり、口約束だけで振り込みました。
次の給料日に返してもらう約束でしたが、期日を過ぎても入金はありません。電話をすると、弟は申し訳なさそうに言いました。
「ほんとにごめん。来月には必ず返すから」
しかし、翌月も、その次の月も返済はありませんでした。催促するたびに、弟の返事も変わっていきました。
「今月は飲み会が続いてさ。もうちょっと待って」
「急ぎじゃないでしょ? また連絡するよ」
その一方で、弟は新しい携帯電話を家族に見せたり、旅行のお土産を配ったりしていました。
お金がないと言っていたのに、どうして返済を後回しにするのか。僕には理解できませんでした。
ある日の昼、実家で弟と顔を合わせたときのことです。弟が真新しいスニーカーをはいているのを見て、僕は思わず聞きました。
「ねえ、10万円はいつ返してくれるの?」
すると弟は、軽く笑いながら答えました。
「家族なんだから、そんなに催促しなくてもいいでしょ」
「いや、もうずいぶん待ってるんだけど……」
「分かってるって。また連絡するから」
奥の部屋には、借金のことを知らない母がいました。母に余計な心配をかけたくなくて、僕はそれ以上言いませんでした。
それでも、貸したお金を返してほしいと言っているだけなのに、なぜこちらが遠慮しなければならないのか。納得できない気持ちは残りました。
婚約者の前で明らかになった弟の嘘
それからしばらくして、弟が婚約者を連れて実家へ挨拶に来ました。
居間のテーブルで母と僕が並んで座り、向かいには弟と婚約者が腰を下ろしました。
最初は和やかに話していたのですが、途中で婚約者が僕に向かって頭を下げました。
「そういえば、車の修理のときは、お兄さんに助けていただいたそうで。ありがとうございました」
突然その話をされ、僕は返事に困りました。
「ああ、いえ……」
すると、弟がすぐに口をはさみました。
「兄貴、その話はもういいだろ。今日は別の話をしようよ」
婚約者は不思議そうに弟を見ました。
「え、どうしたの?」
弟は答えません。僕も母の前で話すべきか迷いましたが、婚約者が返済は済んでいると思っているなら、そのままにするわけにもいきません。
「実は、まだ返してもらっていないんです」
そう伝えると、婚約者は驚いた顔で弟に向き直りました。
「えっ? 10万円、もう返したって私には言ってたよね」
弟は黙ったままでした。
「まだ返してないの?」
「……」
「返せてないなら、そう言ってくれればよかったのに。結婚するんだから、お金のことはちゃんと話してほしかった」
責め立てるような口調ではありませんでしたが、婚約者の表情は真剣でした。
それまで黙って聞いていた母も、驚いた様子で弟に尋ねました。
「10万円も借りてたの? 本当にまだ返してないの?」
弟はうつむいたまま、何も答えませんでした。
その場でそれ以上追及することはありませんでしたが、弟が婚約者に返済済みだと話していたことには、僕も驚きました。
翌週、僕の口座に10万円が振り込まれていました。婚約者からも、丁寧なお詫びのメッセージが届きました。
次に実家で会ったとき、玄関にはあのスニーカーがそろえて置かれていました。
弟は僕と目が合うと、小さく頭を下げ、何も言わずに居間へ入っていきました。
結局、弟から直接謝罪の言葉はありませんでした。それでも、長いあいだ返してもらえなかったお金がようやく戻り、ほっとしました。
何より、家族だからこそ、お金の約束はきちんと守ってほしい。今回のことで、改めてそう感じました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














