「お隣は毎年、自分のお金で掃除しているんですよ」落ち葉の苦情を「お互い様」で済ませた隣の奥さんが黙った瞬間
お互い様と言われた秋
隣の家の庭木が伸び、枝がうちの敷地にかかるようになったのは、3年ほど前のことです。秋になると屋根に落ち葉がたまり、雨の日には雨どいから水があふれることもありました。
ある日、はしごに上って雨どいの葉を取り除いたあと、門の前で隣の奥さんと顔を合わせました。
「すみません。庭木の枝がうちの方まで伸びているので、少し切っていただけませんか。雨どいに葉がたまってしまって……」
奥さんは、門の脇に置いた落ち葉の袋を見て言いました。
「でも、落ち葉なんて風であちこち飛ぶものでしょ?」
「そうなんですけど、枝が伸びている側に特にたまるんです」
「うちの木だけが原因とは限らないじゃない。そういうのはお互い様でしょ」
それ以上は言えませんでした。後日、夫からもお願いしてもらいましたが、「そっちで勝手に切れば」と返されたそうです。
とはいえ、隣の庭木を自分たちで切るのはためらわれます。
結局、毎年秋になると自分で落ち葉を掃き、雨どいの掃除は費用を負担して業者さんにお願いしていました。
業者さんが見せた、毎年の作業記録
ある年の秋、大雨のあと、今度は隣の家の雨どいからも水があふれました。
奥さんが掃除を頼んだのは、偶然にも、毎年うちに来てくれている業者さんでした。
作業が終わった昼過ぎ、隣の家の前に業者さんと奥さんがいるのが見えました。
今なら話を聞いてもらえるかもしれない。そう思った私は、思い切って声をかけることにしました。
「すみません。うちも毎年、雨どいに落ち葉がたまって困っているんです。やっぱり、枝を少し切っていただけませんか?」
すると、奥さんは以前と同じような返事をしました。
「でも、葉っぱなんてどこから飛んできたか分からないでしょ?お互い様じゃないですか」
また同じ言葉を聞いて、私は業者さんに向き直りました。
「あの、うちの雨どいも毎年掃除していただいていますよね。これまでどんな状態だったか、奥さんにも説明していただけませんか?」
業者さんはうなずき、奥さんに向き直りました。
「お隣は毎年、自分のお金で掃除しているんですよ」
そして、これまでの作業記録を見せながら説明しました。
「こちらが過去の作業記録です。毎年、似たような葉が詰まっています。もちろん、すべてこちらの木が原因とは言い切れませんが、枝を少し切っていただくだけでも、お隣に落ちる葉は減ると思います」
奥さんは記録を見つめ、しばらく黙っていました。先ほどまでの強い口調はなく、それ以上「お互い様」と言うこともありませんでした。
道の向こうでは近所の人たちが立ち話をしていましたが、私もそれ以上は何も言いませんでした。
翌週、隣の庭木の枝は大きく切られていました。
その冬、うちの雨どいが詰まることはありませんでした。
今では奥さんは、私と顔を合わせると目を伏せ、足早に通り過ぎていきます。
後日、業者さんに電話でお礼を伝えると、明るい声が返ってきました。
「お役に立ててよかったです。記録は、これからもちゃんと残しておきますね」
毎年の掃除は大変でしたが、記録を残してもらっていたことが、思わぬ形で役に立った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














