「ねえ、辞めるって本当?」事実無根の噂を流す情報通のママ→対峙した一言で誰も乗らなくなった
広がっていた自分の噂
幼稚園のお迎えの帰り道、仲のいいママから声をかけられた。少し言いにくそうに、彼女は切り出した。
「ねえ、辞めるって本当?引っ越すって話も出てるよ」
思わず足が止まった。仕事を辞める予定も、引っ越す予定もない。完全な事実無根だった。
「それ、誰から聞いたんですか」
たどっていくと、行き着いたのは同じクラスの情報通のママだった。行事のことも先生のことも、なんでも知っている人。頼れる存在だと思っていた相手だった。
本人しか知らない話まで
思い返せば、おかしいと感じたことは前にもあった。彼女はいつも、誰かの内輪の事情を声をひそめて話していた。
「あのおうち、ご主人が転職するらしいよ」
「お子さんの習い事、来月でやめるんだって」
本人しか知らないはずのことを、なぜか彼女は把握していた。みんな曖昧にうなずいて聞いていたけれど、自分が標的になって、ようやくその怖さが分かった。
一度、それとなく言ってみたこともあった。
「本人が話してないなら、広めない方がいいんじゃないですか」
「大丈夫だよ、みんな知ってることだから」
彼女はそう言って、軽く笑うだけだった。悪いことをしている自覚は、まるでないようだった。
このまま放っておけば、嘘が本当のように広まってしまう。私は彼女に直接、向き合うことにした。
向き合って告げた一言
「私が辞めるとか引っ越すとか、広めてますよね。あれ、事実じゃありません」
「えっ、でも、みんな知ってることだし…」
彼女はとっさにごまかそうとした。けれど私は引かなかった。
「勝手に広めるのは、やめてください」
はっきりそう告げると、彼女の表情がこわばった。いつも止まらないおしゃべりが、ぴたりと途切れる。目を合わせられず、口元だけが小さく動いていた。
その場にいた他のママたちも、堰を切ったように話し始めた。
「うちも、聞いてもいない話を勝手に言われてました」
「ずっと変だなって思ってたんです」
「私のときも、勝手に話を盛られて困ったんですよ」
四方から声が上がり、彼女はうつむいて黙り込んだ。さっきまでの得意げな様子は、すっかり影をひそめていた。何か言い返そうと口を開きかけては、結局そのまま閉じる。それを何度か繰り返していた。
それ以降、彼女が新しい噂を口にしても、誰も反応しなくなった。みんな軽く受け流して、その話題には乗らない。気づけば、彼女の周りからは人が引いていった。私は当たり障りのない距離を保ち、必要なときだけ言葉を交わすようにした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














