「そっちは大して稼ぎもないやん!」思わず出てしまった夫の本音。だが、上司の説教で立場が逆転した瞬間
届けてほしいという連絡
繁忙期で気が立っていたのだろう。仕事中の私に、夫から急ぎの電話が入った。
「商談のデータ、家に忘れてきてもうた。今すぐ会社に届けてくれ」
「私の仕事が終わってからでいいなら持って行くよ。今は無理だよ」
「それじゃ間に合わへん。上司に頼んで早退できへんのか」
「なんであなたの忘れ物のために、私が早退しないといけないの?」
正直な疑問を口にしただけだった。それなのに、夫の返しはあまりに身勝手だった。
「そっちは大して稼ぎもないやん!」
その一言で、頭の中が真っ白になった。時短で働いていても、私なりに責任を持って向き合っている仕事だ。
それを稼ぎの額だけで切り捨てられたことが、何よりこたえた。
早退させてくれた一言
昼休み、どうしてもおさまらず、同僚に愚痴をこぼしていた。
その様子に気づいた上司が、こちらへ歩み寄ってきた。
「急ぎの分は終わったから、早退して大丈夫だよ。ご家庭のことなら、無理せず行っておいで」
「本当ですか。ありがとうございます」
「困ったときはお互いさまだから、気にしないでいいよ」
同じ「仕事」の話なのに、夫と上司とでは、相手への向き合い方がまるで違った。一方は私を軽んじ、もう一方は時短勤務の私を一人の働き手として扱ってくれる。
その差を噛みしめながら、私は頭を下げた。そして一度家に戻って忘れ物を取り、夫の会社へと足を運んだ。
届けたらすぐ戻ろう。そう思っていた。
逆転した立場
夫は受付に現れると、礼の一つも言わずに紙袋へ手を伸ばした。その瞬間、後ろにいた年配の男性が前に出てきた。
私たちの一部始終を見ていたらしい、夫の上司だった。
「なんでお前のミスで、よそ様の会社に迷惑かけとんねん!」
鋭い声が、フロアに響き渡った。夫の顔がみるみる強ばっていく。
「いや、これは……」
「奥さんに、ちゃんと謝らんかい!」
夫は何か言いかけて、結局その先を飲み込んだ。周りの社員たちが手を止め、ざわめきが広がる。
逃げ道のなくなった夫は、観念したように私へ向き直り、頭を下げた。
「……ごめん。さっきの言い方も、全部悪かった」
つい数時間前まで「大して稼ぎもない」と私を見下していた人が、人目もはばからず頭を下げている。私は静かに紙袋を手渡しながら、はっきりと告げた。
「届けたけどね、言われたことは忘れないよ」
夫はもう、何も言い返せなかった。
気まずそうに視線を落とし、小さくうなずくだけ。あの偉そうな態度は、どこにも残っていなかった。それから夫は、私の仕事を一度も軽んじなくなった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














