「昔のやり方にして!」自分の育児の方法を押し付ける義母。だが、私と夫がはっきり返した一声
台所から飛んでくる指示
義母が来る日は、朝から台所の音が増える。
私が離乳食の鍋を火にかけていると、義母は横からのぞきこんで顔をしかめた。
「昔のやり方にして!」
「これ、今は月齢に合わせてかたさを変えるんです」
「本に書いてあることでしょ。うちは三人これで育てたの」
おたまを取り上げられ、勝手に味を足される。
私は濡れた手をエプロンで拭きながら、黙ってうなずいた。
鍋から立つ湯気が、義母の手つきに合わせて揺れる。
味見をした義母は、満足そうに小さくうなずいた。
指摘は、台所からリビングまで追いかけてきた。
「お風呂上がりに湯冷まし、飲ませないの」
「今はいらないと言われていて」
「誰に言われたか知らないけど、私は何十年も見てきたのよ」
抱っこ紐で息子を揺らしながら、私は返事の代わりに笑ってみせる。ベルトが肩に食い込む重みが、その日はやけに深く感じられた。
何年も、そうやってきた。反論しても勝てない。だから引き分けにもならない場所に、ただ立っていた。
夫が布巾を置いた午後
その日も、義母は同じ調子で私の手元を直しにきた。
いつもなら流す場面で、私は息子を抱えたまま、静かに口を開いた。
「お義母さんのやり方は古いので、この子は私たちの方針で育てます」
怒鳴ってはいない。
ただ、はっきり言い切った。
義母の眉が上がり、それから、続く言葉が出てこなくなった。
「…そんな言い方、しなくても」
「言い方の話ではなくて、決め方の話です」
そのとき、洗い物をしていた夫が布巾を置いて、こちらへ来た。
「母さん。うちの家のことだから、僕たちに任せてよ」
義母が息をのむのが、はっきり見えた。
「私は、良かれと思って」
「わかってる。でも、良かれで押し切るのは、もう終わりにしよう」
義母は助けを探すように私を見て、それから夫を見た。どちらからも、返す言葉は来なかった。
義母は口を開きかけ、そのまま閉じた。ソファに腰を下ろすと、膝の上で手を組み、しばらく壁の時計を見ていた。
帰る間際、義母は玄関で振り返り、私に向かって小さく頭を下げた。
「今日は、ごめんなさいね」
それだけだった。
以来、義母は少し距離を置くようになった。来る前には必ず連絡が入るし、抱っこも「いい?」と聞いてから手を伸ばす。
すべてが解決したわけではない。気まずさは、今もテーブルの端に残っている。
それでも、あの午後から、私は義母の前で笑ってごまかす必要がなくなった。台所の音が、ようやくただの音になった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














