tend Editorial Team

2026.07.21(Tue)

「うちの台所には、もう入らないでください」お節介な義母。だが、我慢出来ずに本音を告げた結果

「うちの台所には、もう入らないでください」お節介な義母。だが、我慢出来ずに本音を告げた結果

持参した醤油差しが、コンロの横に置かれた

義母は、悪い人ではないのだと思います。

ただ、家族のためという言葉が出てくるたびに、私の生活の中身が一つずつ書き換えられていきました。

「宿題は、ごはんの前にさせなきゃダメよ」

「そのお茶碗、この子には重いでしょう。替えといたわ」

そのたびに頷いて、義母が帰ってから、私はこっそり元に戻します。

ずっと、その繰り返しでした。

ある夕方、玄関の鍵が回る音がして、義母が上がってきました。

「ご飯の味付けも、私がやるわ」

コンロの前に立つ私の横に、義母が並びます。手には、持参した醤油差しがありました。

「うちの味を、この子たちに覚えさせないと」

「お義母さん、今日は私が作りますので」

「遠慮しなくていいのよ」

鍋に醤油が回されて、湯気の匂いが変わりました。子どもたちはテレビの前から動きません。

夫は、缶ビールを開けたところです。

「母さん、いつも悪いな」

その一言で、その日の食卓は決まってしまいます。

法事のあとの食事で、義父が口を開いた

限界が来たのは、義実家に呼ばれた法事の後でした。

「この家は、私がいないと回らないわね」

皿を並べながら、義母がそう言います。義父は苦笑いをして、夫は黙り込みました。

「ねえ、あなたもそう思うでしょう」

私に向けられた言葉でした。箸を置いて、義母の顔を見ます。

「お義母さん。うちの台所には、もう入らないでください」

部屋の音が、止まりました。

「なに言ってるの。あなたのためでしょう」

「私のためなら、要りません。味付けも、子どもの叱り方も、私が決めます」

「そんな言い方、ないでしょう」

義母の声が上ずって、指先が皿の縁を掴みました。義父が、ゆっくりと湯呑みを置きます。

「お前は、言い過ぎだ」

「……お父さんまで、そんな」

「この子の家は、この子が回すんだ。ずっと見ていて、そう思ってた」

義母は口を開きかけて、そのまま閉じました。何か言おうとして、二度、三度と喉が動いて、結局は皿を持って台所へ消えていきます。

夫も、ようやく顔を上げました。

「悪かった。俺、なんにも見てなかった」

夫がそう言ったのは、帰りの車の中です。

それから、義母が前ぶれなく玄関に立つことはなくなりました。合鍵は、こちらからお返しいただきました。

今朝も、私は自分の分量で味噌を溶いています。子どもが眠そうに起きてきて、味噌汁を一口すすりました。

「今日のやつ、いつもの味だね」

いつもの、と言ってもらえる味が、この家にやっと戻ってきたのです。玄関のチャイムは、鳴りません。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.22(Thu)

「こんなに高いのに?」雑貨店で値下げを要求し続けた女性客。だが、先輩が棚の前で見せた値札に、態度が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.10.22(Thu)

「溶けてしまうので売り場に戻しました」かごを叩きつけた男性客が、さらに伸びた列の最後尾に並んだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.22(Thu)

「墓場まで持っていくから」二度も詐欺に遭った姉が私にだけ打ち明けた秘密→何も知らない夫の前で見せた笑顔に背筋が凍った
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.02.27(Fri)

【少子化の正体】結婚は増えたのになぜ子供は減り続けるのか?数字が突きつける「産まない」という冷徹な選択と将来への不安
tend Editorial Team

2026.02.24(Tue)

「ちょっとやめてよー!」と職場でいちゃつく先輩と後輩。付き合ってると思ってた2人に待っていた、意外な末路とは
tend Editorial Team

2025.11.18(Tue)

「最低…嘘でしょ?」借金発覚で崩れる夫婦。だが、お金を借りた相手を知り、妻の表情が一変…【短編小説】
tend Editorial Team